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広島県から教育を改革中!平川理恵さんの考える「これからの教育」

広島県から教育を改革中!平川理恵さんの考える「これからの教育」

女性初の民間人公立中学校校長となり、現在は広島県教育委員会の教育長となった平川理恵(ひらかわ りえ)さん。

教育一本ではない経歴だからこそ、さまざまな角度から「教育の在り方」を見直し、子どもたちが柔軟に学べる環境を作るべく改革を進めています。

そんな平川さんの経歴や活動を調べてみたので、「これからの教育の在り方」について考えるきっかけになれば幸いです。

広島県の教育長 平川理恵さんについて

 

会社員から教育の道へ

平川さんの経歴を紐解いてみると、初めから教育に関わっていたわけではありません。

同志社大学を卒業後、(株)リクルートへ入社し、営業職として働いていました。

営業成績もトップを取るなかで、「これからの社会は国際化が進む」という考えを持ち、自分自身が国際人となれるよう、1997年にリクルートに所属したまま、派遣留学生として南カリフォルニア大学大学院へ留学されました。

留学を決めた当初は英語が苦手で、勉強にも追いつけないといった苦い思いを経験しながらも、知り合いの通訳として色々な大学を見て回っていたらしく、帰国後には留学の仲介会社を起業しました。

平川さんが立ち上げた(有)トラベシアが運営する「留学図書館」では、オーダーメイド留学というコンセプトをもとに、ひとりひとりが求めるものを分析し、どんな留学スタイルが合うのか、そのための準備や勉強法などをじっくりと相談することができます。

参考 留学図書館

またシニア向けのプランによって、会社の業績が上昇する一方で、少しずつ若者の留学希望者が減っていることを受け、「本当にやりたいことはなんだろう?」とつき詰めた結果、「教育に関わりたい」と思い至り、会社を手放して教育界へとシフトチェンジすることを決めたそうです。

 

広島県の教育長になるまで

平川さんが校長となり教育長になるまでの話の前に、「学校教育」について簡単に解説しましょう。

教師になるには、大学などで教職課程を履修して「普通免許状(いわゆる教員免許)」を取得する、または専門知識を持っている・経験が豊富などの理由で社会人が取得できる「特別免許状」を得る、もしくは期間限定など例外的な場合に取得できる「臨時免許状」を取得する、これらのいずれかを持った状態で、教員採用試験を受け、合格した後に採用されることで教師として働くことができます。

そして、校長先生になるための試験もありますが、以前の受験資格では、教員免許のいずれかを持ち、教育に関する職に一定期間就いていた、などの条件がありました。

しかし、近年は条件が緩和され、免許状を持っていない・教育の分野に携わった経験がない人でも、一定の条件を満たせば校長になれるようになりました。

民間企業から校長先生になるので、「民間人校長」とも呼ばれており、その民間人校長として女性で初めて公立中学校に就いたのが平川さんなのです。

平川さんは、横浜にある公立中学校の校長として学校教育に携わる一方で、文部科学省の中央教育審議会の一員として、新学習指導要領の改訂にも尽力しました。

こうした活動のなかで、2017年に広島県知事から広島県の教育委員会の教育長への誘いがあり、現在の職へと繋がります。

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テレビで注目を集めた子育て5カ条

平川さんは会社経営をしているときに長女を授かり、ご両親のサポートを受けながら学校教育の道へシフトした当初、関東に住みつつ大阪での校長職に応募していました。

しかし、内定が出たタイミングで、当時保育園に通っていた長女から反対があったと言います。

母(平川さん)や祖父母が一緒に暮らしていたこれまでの生活から、急に平川さんと一緒に関西に引越しをするか、関東に残るかという選択を問われた長女は、どちらにも「No」としっかりと反対しました。

結果、平川さんは大阪の学校に辞退を申し出て、その後、自宅から通える横浜の学校に就任しますが、学校教育に没頭するあまり、家庭教育をなおざりにすることはあってはならないと改めて認識する機会となったのです。

その後に平川さんの教育長としての実績がメディアで取り上げられた際、親としての教育論も注目を集めました。

冒頭の留学のきっかけにもなった「国際人」のフレーズを用いて、「日本人として、国際人」というテーマを掲げ、子育ての5カ条を次のように紹介しています。

1.自己肯定感・幸福感のある子
2.自然界を五感で感じられる子
3.人の気持ちが分かる子(コミュニケーション力)
4.自分の意見を人に分かりやすく言える子(クリティカルシンキング力)
5.自立していて、世の中に貢献できる子

子育てをするなかで、こうした考えを念頭において接していたといいます。

平川さんの長女には、小さなころから「どう思う?」と考えさせる問いかけを実践していたことで、きちんと自分の意見を主張できるようになったそうです。

その後、14歳のときに長女自らがマレーシアへ留学を決め、実現しました。

平川さんの留学経験と同じように、「行きたい・やりたい」という気持ちをエネルギーにして、アクションプランをこなし、やがて目標が叶ったことは大きな自信となったことでしょう。

教育長としての活動

平川さんは横浜で校長として働きはじめてから、学校教育の分野でさまざまな改革を行ってきました。

そして広島県の教育長となったあとは、学校、家庭、地域といろいろな視点ごとのアクションプランを立ち上げ、県全体が教育に携われるように活動しています。

広島県が行う多様なアクションプランの一部をご紹介します。

 

学校へ通う前から遊びを通して学ぼう

広島県では、学校教育よりも前の段階である就学前の子どもに対して、遊びや日常生活による学びや発見が大切であるとし、親子で外出や地域のイベントに参加できるように情報発信をしています。

例えば、子育て世帯への情報を集めたイクちゃんネットは、子育てイベントや病院の情報、子ども向けのサービスがあるお店や離乳食のレシピを掲載しています。妊娠期から子どもが中学生になるまでの長い期間利用できます。

イクちゃんネットは、平川さんの就任よりも以前からあるサイトですが、行政・民間問わず情報を集約しており、県全体で子育て支援をするというアクションに沿ったサイトです。

幼稚園や学校など公共施設の情報だけではなく「この整骨院ではベビーマッサージのイベントが…」といった内容も載せることで、子育て世帯と地域の距離をグッと近づけてくれますね。

参考 広島県子育てポータル イクちゃんネット

 

新たな教育モデルってなに?

学校教育の面でも注目すべき改革があります。

平川さんが横浜の中学校で校長を務めた際の話ですが、採用された中学校で不登校の生徒が何人かいたため、その子たちと話をしたうえで、教室ではなく学校内にフリースクールとして学習部屋を作りました。

不登校の生徒たちは、人とのトラブルや持病、教室の空気が苦手など、それぞれが抱える悩みはあるものの「勉強をしたい」という気持ちを持っていたので、その部分をサポートする方向に考え、教師たちにも協力をしてもらうことで、不登校ゼロを実現したのです。

これは広島県の教育長になったあともすぐに実行し、スペシャルサポートルーム(SSR)の名称で、県内の学校に広く設置されています。

さらに学びのセーフティーネットとして、家庭環境や障害を持った子どもも、すべての子どもが健やかに教育を受けられるように整備を進めています。

また、生徒が来たくなるような図書室にするための改革も画期的です。

従来の図書室は、古い本や馴染みのない本が大半で、きちんと机が並べられ、静かに過ごす場所という印象があると思います。

そんな図書室を、カラフルな本棚やテーブルクロスで飾り、ソファやラグを敷いて明るくし、寝転んでもいいようなリラックスできる空間にしました。

さらに、「読みたい本」を見つけられるように、古い書物を除いて新しい本を取り入れたり、本の並べ方も、表紙を見せたり平積みしたりと図書室全体の印象を変えることで、生徒が来たい・読みたい本がある場所へリニューアルをしたのです。

参考 広島県教育委員会の図書室リニューアル

ニューノーマルな「これから」に必要なこと

今からは想像できないことがニューノーマルとなる将来では、いろいろなスキルが必要になります。

例えば、グローバル化に向けて英会話は必須となり、日本全体でも注力されています。

広島県では、英語や他国の文化を学ぶ場所としてインターナショナルスクールの開校を増やしたり、叡智学園という県立の全寮制学校において革新的な学校教育が行われたりしています。

さらにコロナ禍の影響を受けたときに、平川さんは、いち早く授業のオンライン化を実行に移しました。

家庭環境によって通信環境や端末が整っていないこともありますが、県としてサポートを行いつつ、オンラインと対面を組み合わせることで遅れが出ないように対応しています。

全員の足並みを揃えるまで止まるのではなく、学びたい意欲のある生徒たち、そんな生徒たちに教える方法を模索する先生たちの熱を冷まさないよう、全力で環境整備を行いながら、今できることにどんどんトライしていく、そんな姿勢はこれからに必要なことのひとつと言えますね。

関連 教育改革が進む広島県で注力されているインターナショナルスクールの魅力

まとめ

平川さんの経歴や実績を紐解いていくと、いろいろな壁や悩みに当たっても「なにをしたいか」「目標はどこ?」「そのためにどうする?」と段階を分けて着実に進んでいく姿勢が素晴らしいと感じます。

子どもたちが健やかに成長するために、教育について見直し、地域も学校も家庭も一丸となって盛り上げていく広島県の施策は、将来の地域活動や社会活動へと繋がることでしょう。

幅広い視野を持ち、異なるバックグラウンドを持つ人たちと協力しながら、一歩ずつアクションを明確にしていくことで、これからの教育が柔軟に変化していきますね。

学校の授業スタイルがオンラインやフリースクールと柔軟な形に変化したように、習い事や学習の補助をする塾にもさまざまな形があります。

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オンラインで世界中と繋がり、学びを通してコミュニケーションをとることで、平川さんの掲げていた人の気持ちを考える能力・自分の考えを分かりやすく伝える能力なども伸ばすことができるでしょう。

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