最先端教育

小中学校からの英語教育のメリット・デメリット!教育改革とは?

最近では、センター試験廃止に関する話題ともう1つ、教育界の中で大きく話題になっていることがあります。

それは小学校での英語授業の必修化、教科化です。一部の小学校では2018年度から段階的に取り入れを行なってきましたが、2020年度をもって完全に教科に組み込まれる形となりました。

必修科目として新たな教科が追加されるのは、義務教育では戦後以来のこととあって注目されています。

今回は、英語教育必修化のメリット・デメリットについて詳しくご紹介していきたいと思います。

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2020年に実施される教育改革とは

今回の教育改革は戦後最大といわれているとても大きなものです。

具体的には、学習指導要領が約10年ぶりに大幅改訂され、学校教育全体が大きく変わることが期待されています。

これは、小学校だけでなく中学校・高等学校にまで及び、さらに国立・公立・私立を問わず全ての「学校」に適用されます。

小学校では早速2020年度、中学校では2021年度、そして高校では2022年度からの完全実施となります。

今回の改定で最も要となるのは、これまでも度々話題となっていた「生きる力」の育成と、実用的で主体的な学びを得るため「アクティブ・ラーニング」、そして、グローバル化が急速に進む社会に対応できる「英語力」の育成です。

小学校では「英語教育の教科化」がされ、それにあわせて中学や高校でも英語授業は基本的に英語で行うことなります。

また、2020年度のセンター試験の廃止に伴い、2021年度から新たに実施される「大学入学共通テスト」。

こちらは2月の時点で延期の可能性が発表されていますが、その後延期をしない旨を発表し直したりなど、初年度に向けてまだまだ微調整が必要と思われます。

英語教育必修化が小学校にもたらす変化

小学校3年生・4年生

実は英語教育に関しては、2020年度4月からの全面実施に先駆けて、2018年度から移行措置がとられていました。

そのため2020年7月現在の小学3年生〜6年生は2018年度よりすでに英語の授業が始まっていました。

もっというと、2011年度から小学校5・6年生における外国語活動はすでに導入されていました(もっと遡ると2002年から総合的な学習の時間を使い英語を学んでいました)。

その間で、中学校への接続や小学校高学年での発達段階に関する課題がみえたものの、子供たちの外国語学習への意欲や一定の成果がみえたことをきっかけに、今年度の新学習指導要領の中で「教科」として教えることとなりました。

しかし、小学校3・4年生がこれと少し異なるのが「外国語(英語)必修化」という点です。

厳密に言うと、5・6年生の教科化とは違います。小学3・4年生で目指す内容は、初めて英語に触れるため親しみを持つという点で、英語の4技能「聞く・話す・読む・書く」のうち「聞く」こと「話す」ことにフォーカスします。

年間35単位学びますが、正式な教科ではないので教科書はなく、文部科学省が配布する教材を使用します。

これは歌やダンスといったゲーム性のある授業となります。

 

小学校5年生・6年生

小学校5・6年生は抽象的な思考力が高まる段階であることから、小学校3・4年生と比べてもう1段発展的な内容となります。

コミュニケーションに基づいた学習だけでなく、より体系的な学習が求められるのです。

そのため、3・4年生では「聞く」「話す」に重点を置かれていたのが「読む」「書く」にシフトします。

最終的には外国語を通して言語やその背景にある文化に対する理解を深め、主体的に外国語を用いてコミュニケーションを図ろうとする態度や国際感覚の基盤を養うことも意図されているため、かなり高度な発展的内容といえます。

また、これは「教科」となるため、教科書を使い正式な教科として成績がつきます。さらに担任の先生と英語専任の先生とのW体制での授業となります。

英語教育必修化が中学校にもたらす変化

小学校のうちに発展的な内容に少し踏み込み、全体の基礎レベルを底上げすることができれば、続く中学ではさらに発展的な内容へと深化が期待できるだけでなく、高校・大学にもその後スムーズにここでの学びを生かしていけるでしょう。

また教科化により、成績という目に見える形での評価が始まると、中学受験への英語導入やそれに伴う学習塾の変化など、小学生英語を取り巻く状況が一変することは間違いないでしょう。

しかしその一方で、現場からは混乱の声も上がっています。

文部科学省発表の「グローバル化に対応した英語教育改革実施計画」の中では、中学校の英語の授業は今後「英語で行うことを基本とする」とあります。

高校ではすでにオールイングリッシュ化を行っているところもありますが、それが1段下に降りてくることになるのです。

さらに授業内容もこれまで高校で教えていたことの一部を中学で教えることとなります。

高校の英語教育と大学入試の変化

また、大学入試においては、従来のマークシート式の問題から、より読解力やリスニング力を試す問題傾向にシフトしていきます。

中学における授業内容も高校から下がってくるわけですから、高校では従来よりもさらに多くのことを学ぶことになります。

単語数もこれまでより1000語程度増加、問題文も全て英語に変わります。

その一方で、外部検定試験の活用も認められることとなりました。

私たちにとって馴染みの深いTOEICがこれに参加しないことは衝撃的ではありましたが、英検やケンブリッジ、IELTSは利用できます。

しかしやはりこれを巡っても、まだまだ細かい調整の余地があることは否めません。

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海外の早期英語教育の事例

中国

中国は2001年WTOに加盟したことや北京オリンピックが決まったことを受け、すでにその頃から小学校3年生の英語教育が実施されています。

国家の威信をかけた政策と言っても過言ではなく、小学校卒業時には単語数1600語(これは日本だと高校1年生のレベルとなります)を目指すなど徹底的な詰め込み型を実施、さらに中学校からはほぼ毎日英語の授業時間を確保するなど、国全体で英語力を底上げしています。

また、生徒同士の英語でのディスカッションや発表が小学校からのカリキュラムに組み込まれているのも特徴です。

地域差によってレベルの差があるものの、北京などの都会では小学校1年生からこれを実施している学校もあるそうです。

中国では学生の競争意識が高く、英語習得が生活・社会的地位向上の手段となるので、学生も授業に真剣に取り組んでいます。

 

オランダ

非英語圏ではトップの英語力を誇るといわれるオランダでは、さらにもっと早くから英語教育が実施されています。

オランダの教育システムは5歳から7〜8年かけて初等教育が行われます。

英語は10歳からの必修となりますが、実際には5歳の段階でほとんどの小学校が第一外国語としての英語を導入します。

内容は、教員と歌ったり踊ったり英語に慣れ親しむところから始まり、教科書を使用する場合は音読をします。

これは高学年になっても基本的に同じで、学校によっては英語の流行りの曲を題材とし英語を学んだりするそうです。

必修化になっていないということは、いつまでにこれを必ず教えなければならないということが決められていませんので、生徒の状態にあわせて学校が教育方法と内容を決められます。

文法を専門的に教えることはしませんが「知りたいことをどう質問するか」「どう英語の情報を読むか」「知らない言葉に出会ったらどう対処するか」を教えているため、初等教育終了時には基礎的な基準に達するのです。

また、教えている英語教員の質が高いのも特徴的です。

 

フィリピン

フィリピンは約50年もの間アメリカの植民地であったこともあり、かつてはアメリカが導入した教育制度に則って、国語と社会の授業は母国語のフィリピン語、それ以外の教科は英語で教えられていました。

しかしその方法だと、授業についてこれない生徒が増えてしまい、2009年から小学校2年生までは母国語での授業とし、3年生から英語を段階的に取り入れるという方法に切り替えたのです。

このことは早期から外国語教育を取り入れる課題を示唆しているようにも思えます。

しかし英語も公用語であるフィリピンでは、映画もテレビも新聞も英語です。

日常的に英語に接する機会多いため、英語力の素地は十分あり、それに上乗せして徹底的に英語を叩き込むので、多くの人が小学校卒業時までに英語を使いこなせるレベルとなります。

関連:日本の英語教育の8つの問題点!海外事例・改善案も丁寧に解説

小学校から英語教育を行う3つのメリット

文化に慣れ親しみ総合的なコミュニケーション能力の向上

まず外国語教育の目指すところが、外国人とのコミュニケーションというところにあります。

日本語が空気を読むことや、察する・推し量るといった性質を持つのに対して、英語はオープンに物事を伝えられる性質があり、議論に向いています。

この言語を使う練習をすることは単に英語のみでなく、コミュニーケーション能力の向上も期待できます。

また小学校の早い段階から英語を学ぶことで、外国人や異文化に対する抵抗も少なく、柔軟に物事を受け入れられる多様な価値観を身につけられるでしょう。

 

言語学習の「臨界点」を迎えるまでに慣れておける

国際社会において英語はもはや必要不可欠な要素ですが、一般的には大人になって新たに英語を学ぶよりも幼児の段階で習得する方が早いといわれています。

また、幼児期のあごや舌の形成される時期に英語を学ぶことで、よりネイティブに近い発音ができるようになるといわれています。

小学生は幼児とは言えないものの、幼児と同じくらい高い効果を得られるといえるでしょう。

俗にいう「英語脳」や「英語耳」というのも、10歳前後で臨界点を迎えるため、吸収の良い10歳くらいまでに習得しておきたいものです。

 

その先へと続く教育への接続をスムーズに

今後の大学入試改革で、ますます英語能力の重要度が高まってくる可能性もあるため、なるべく小さい頃から学習していくのがベターということにはなります。

また、それ以上に今後国際社会で活躍するために、最低限必要な英語を早いうちから段階的に学ぶことのメリットは多くあります。

教育改革では、アクティブラーニング導入の動きも加速していますが、突然中学校からディベートやプレゼンの授業を持ち込まれても、多くの小学生は恐縮してしまうでしょう。

しかし、小学校の段階から外国語授業内に人前で歌ったり、ダンスをしながら楽しく勉強することで、その延長上にある積極的なコミュニケーションやプレゼン、議論などの発展的な内容につなげることができます。

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小学校から英語教育を行う2つのデメリット

思考が育ちにくくなる可能性がある

メリットがある一方でデメリットとしては、日本語もままならない段階から英語を勉強すると、日本語の習得がおろそかになり、論理的思考力が育たなくなるのでは、という懸念があります。

例えば「ムカつく」という感情には「イライラする」「不愉快だ」「居心地が悪い」「怒ってる」など、他の言葉に置き換えてより自分の気持ちに近い感情を説明できますが、言語能力が不十分だとそれを探すプロセスの途中で表現することを諦めてしまうので、結果的にこの感情は何なのか?という自問をしなくなり「考える」ことを放棄してしまうようになります。

コミュニケーションの土台となるのは論理的な思考能力です。これがクリアできなければ「セミリンガル」といって2ヶ国語話せるけれど会話が子供レベルから脱せないという状況になります。

このように言語というのは予想よりも我々の思考力と密接な関係性があることなので、英語に特化しすぎるのではなく、きちんと母国語としての日本語も大切に扱っていく必要があります。

 

無理やりだと英語を嫌いになってしまう可能性も

また、英語教育の失敗を経験した昔のフィリピンのように、無理やりだと英語を嫌いになってしまい、学校生活そのものが苦になってしまう可能性もあります。

何でも吸収率の良い子供の時期ですが、それ故に一度嫌いという先入観を持ってしまったものは、その後克服するのが難しくなってしまいます。

そのため、小学校3年生からの導入で最初は歌・ダンス・クイズといったお楽しみ要素の多い授業を展開することとしていますが、これに関しては教師の力量も問われます。

オランダでは一律して英語を教える教師のレベルが高いことで知られているのに対して、日本の英語教員のレベルは正直まちまちで、英語のレベルが高い教員もスコア的なものに頼っているのが現状です。

教授法という部分においてはまだまだ努力が必要な分野だと思われます。

早期英語教育で親が意識すべき3つこと

家庭では日本語もしっかり教育する

デメリットで書いた「セミリンガル」に関しては、日常的に家庭で日本語を使う環境であればさほど問題ありません。

しかしそれでも家庭でしっかり日本語を教育することが大事です。

これは座学的な勉強のことを指すのではなく、本を読み聞かせたり、今日あったことを親子でシェアする時間を作ったり、要は日本語でコミュニケーションを積極的にとること、そしてその度に考えさせることが重要になります。

日本語の能力の差に関しては、日本語ネイティブの大人同士でも問題となることがあります。

この言語能力の差は、小さい頃から培われていくものなので、そういった点からも母国語教育というのは本当に大切なことなのです

 

子供が英語を勉強したくなる動機を作ってあげる

また、英語に限らずとも勉強をしたくなるような動機や環境を作ってあげることは子供にとって有意義なものになるでしょう。

オランダの初等教育の段階ではカリキュラム化されていない話を例に挙げましたが、それでも子供たちが英語に熱心になるのは「楽しい」からなのです。

ヒットしている英語の曲や、スターが登場すすYouTubeを見せて興味をひくことは、そのまま子供たちの「楽しい世界」に直結します。

この英語が出来れば楽しくなるのかと気がつくと、子供たちはそれに必要な英語から学び始めるため、オランダでは結果的に文法などを教えなくても英語力が伸びたそうです。

もちろんこの方法がそのまま日本に当てはまる訳ではありませんが、少なくとも楽しい方向を模索するのは必要なことですね。

 

子供の意思を尊重する

導入された英語教育に遅れをとるまいと焦ると、それはかえって逆効果となります。

子供本人が英語学習に関して行き詰まりを感じても、親が無理強いをしたり期待をかけすぎたりすると、なかなか不満を吐き出せずにフラストレーションが溜まっていきます。

それは結果的に成長を阻害することになるので、子供がどうしたいのか、という意思を尊重するように心がけましょう。

関連:子供の英語教育はいつからが正解?親が知るべき早期教育について

早期英語教育で効果抜群!?イマージョン教育とは

イマージョン教育とは未習得の言語を身につける最も効果的な学習方法の1つで、その名の通り、外国語にどっぷりと浸すことで、その言語をマスターさせるというのが、最大の特徴です。

ただ単に言葉を学ぶのではなく、それと合わせて別のことを学ぶので、より実用的な英語が学べます。

これをいち早く取り入れたのはカナダです。カナダのケベック州ではカナダ国内で唯一フランス語を公用語としており、ここで子供が効率よくフランス語を身につけられるようにと幼稚園で導入したのが始まりでした。

その後、1970年代にはアメリカで導入されるなど、欧米を中心に拡大していきました。また、フィリピンのような他国の植民地支配の影響が残る国においても、母国語と並行してイマージョン教育は行われています。

日本で現在このイマージョン教育を取り入れている学校はそれほど多くはありませんが、最近は国際バカロレアを取り入れた学校やスーパーグローバルハイスクールのカリキュラムを取り入れた高校などで一部導入されています。今後はこうした取り組みは増えていくでしょう。

イマージョン教育とは?メリット・デメリットを丁寧に解説!

まとめ

今回は小学校で導入される英語授業の影響やメリット・デメリット、家で気をつけるべきこと、今後の動向をご紹介しました。

国際化社会はもうすでに始まっており、その流れは止めることができません。これは日本のみならず全世界が等しく経験することであり、今後ますます社会の在り方や価値基準といったものは変化していくでしょう。

今回大きく変わる学習指導要領はその時代の変化に対応させたものです。

「英語」そのものはその流れに対応するための1つのきっかけであり、決してゴールではありませんが、これをポジティブなチャンスと捉え、学ぶ側も教える側も柔軟な発想力でもって変化に対応していきたいものです。

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