みなさん、UWCという教育機関をご存じでしょうか。

UWCは、平和で持続可能な未来のために国際的なカリキュラムに基づき、人々と国や文化を結ぶための活動を行う教育機関です。

日本の高校生に相当する学生が、世界中から選抜された同年代の生徒たちとともに２年間の寮生活を送りながら学び合います。

UWCでは世界中でのべ６万人以上の卒業生を送り出していますが、日本ではまだなじみのない国際教育です。

教育のあり方が見直されている今、UWCの活動は世界に通用する価値観や異文化交流を経験することができる教育革命ともいえるのかもしれません。

UWCは、United World Collegesの頭文字で、非営利の国際教育機関の名称です。

UWCのプロジェクトでは、世界各国から選抜された生徒を受け入れ、さまざまなカルチャーやグローバルスタンダードを身につけながら国際的な感覚を持つ人材の育成を目的としています。

日本では高校生にあたる学生を対象としており、高校２年時９月からの２年間を受け入れ期間としています。

通常の留学と異なるのは、UWCの教育課程を修了すると卒業資格を得られるため、日本での高校を卒業する必要がありません。

UWCの選考には高い英語力は必須ではありませんが、海外で学ぶ意欲や人間性が大きく問われます。

変化が激しく情報があふれているゆえに問題も複雑化している現代社会では、より個々の問題解決能力や判断力が問われるでしょう。

UWCは、これからの未来を担う子供たちへの先進的かつ変革的な教育環境の提供に挑戦し続けています。

UWCカレッジでは、国際バカロレアのカリキュラムが採用されています。

国際バカロレアは世界各国の大学で入学資格として認められており、どの教科においてもさまざまな知識が必要とされ、高い理解力や優れた洞察力が求められます。

カレッジでは生徒１人につき１人のチューターが割り当てられ、高い教育目標の環境下でも子供たちが学習をスムーズに進められるよう万全のサポート体制が整えられています。

チューターは、定期的に生徒と学習方法や進度について話し合いながら進路指導を行うほか、まだまだ成長過程であるティーンエイジャーにとって、一般教養や生活全般について相談ができる貴重な存在としても活躍。

国際バカロレアプログラムの一環として、カレッジでは社会奉仕活動を積極的に取り入れています。

社会福祉をはじめ、海難救助や山岳救助、海洋生物の調査、森林整備などの活動を通じて責任感を養い、地域交流の場としても大切な役割を果たしています。

UWCカレッジでは世界各国から集まった優秀な講師陣が教育と指導にあたるため、生徒が多様な価値観に出会うきっかけとなり、質が高く国際色豊かな教育が提供されています。

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UWCには奨学金制度が設けられています。

奨学金には派遣枠ごとに４種類あり、保護者の所得によって支給額が異なります。

 

日本協会特別支援奨学金

経済的理由から留学費用を支払うことが困難な家庭であるが、人柄や学業成績に優れた生徒に対し、日本協会によって支給される奨学金。

世帯収入が税抜き前で年５００万円以下の所得制限があります。

 

日本協会奨学金

日本協会によって支給される奨学金。

派遣枠ごとに支給額は日本円であらかじめ定められています。

所得制限はありません。

 

カレッジ奨学金

世界各地のカレッジごとで独自に支給される奨学金。

カレッジが各家庭の家庭の経済的負担能力を審査し、現地通貨で支給額を決定し支給します。

所得制限はありません。

 

日本協会奨学金＋カレッジ奨学金

上記の日本協会奨学金とカレッジ奨学金を併給できる奨学金です。

所得制限はありません。

奨学金の範囲は、教材費を含む授業料と食費・寮費とし、自宅からカレッジへの往復渡航費、事務費の一部負担、ビザ取得の費用、予防接種代金、保険などは対象とされません（ただし、日本協会特別支援奨学金では一回分の往復渡航費と事務費も奨学金の対象となります）。

２年間での家庭での負担額は、奨学金でまかなわれない授業料や寮費の負担が最大で７２０万円になるカレッジもあります（２０２０年派遣生実績）。

また、渡航費などの負担金が約１００万円必要となる場合があります。

奨学金の審査では、一次選考として、英語・国語・数学の３科目による筆記試験、二次選考として日本語・英語での面接と、日本語でのグループディスカッションが行われます。

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UWCカレッジは世界中で開校され、現在は１８校あります。

１つのカレッジには６０～７０カ国から２００名近くの生徒が集まる国際色豊かな環境です。

カレッジそれぞれに特色のある学びを提供していますが、今回は以下の３校を抜粋してご紹介します。

 

イギリス校

１９６２年にUWC最初の教育機関として、開設されたのがイギリス校のアトランティックカレッジです。

開校当初は男子校でしたが、１９６９年に共学となり１９７１年より国際バロカリアのカリキュラムを採用。

約７０カ国から３６０名ほどの生徒が集まり、異文化を学び合っています。

アトランティックカレッジのメインとなる建物は１３世紀の古城が使用されており、中世ヨーロッパの歴史的な雰囲気を味わうことができます。

このメインビルディングは大ホールや食堂、ライブラリーとして重要な役割を果たしています。

学生寮は８つに分かれており、各寮には監督者である教師やその家族も一緒に住居しながら生活面でも生徒たちをしっかりサポート。

広大な敷地内にはソーシャルセンターやカルチャーセンター、プール、テニスコートなどのスポーツ施設、牧場などがあるため、生徒たちの交流の場が充実しているといえるでしょう。

 

カナダ校

自然豊かな環境のUWCカナダ校は、カナダ元首相でノーベル平和賞を受賞した故レスター・B・ピアソンの多大な尽力により１９７４年に開校。

カナダ校の特徴は、カレッジ自体を「学校」という単位よりも大きい「共同体」や「村」として捉えていることです。

生徒の自由を尊重しつつ、責任感を養うためにも原則として校則や規則がありません。

カレッジでは、生徒が教師と家族のようなリラックスした関係性を築きながら勉強を行えるよう雰囲気づくりを大切にしています。

カレッジの「ハウス」と呼ばれる学生寮はカナダの有名建築家R・J・トムによって設計されました。

建物の建設には日加友好親善を図るために日本企業が一部支援しています。

１階が女子生徒のフロア、２階が男子生徒のフロアとして分かれています。可能な限り違う国の生徒同士がルームシェアするようになっており、自然と異文化交流が行われるような環境づくりが配慮されています。

 

日本校

UWC日本校は、１００名ほどの発起人による支援で２０１４年にインターナショナルスクール・オブ・アジア軽井沢として開校したのち、２０１７年にUWCに加盟後ユナイテッド・ワールド・カレッジISAKジャパンに改名しました。

社会にポジティブな変革をもたらす人材の育成を目的とし、多様な価値観とともにリーダーシップを身につけることを教育目標に掲げています。

軽井沢という恵まれた自然環境では、キャンプやハイキングなどのアウトドア体験やウィンタースポーツなどのアクティビティが盛んに取り入れられています。

リーダーシップを学ぶCASプロジェクトでは各国の起業家をアドバイザーとして迎え、実践的なマネジメントや課題解決力について学ぶことが可能。

文科省より一条校としての認定を受けているため、大学進学に際して国内外を問わず幅広い選択肢から進路を選ぶことできるようサポートされています。

島国で育った日本の高校生にとって、UWCカレッジは学校そのものが世界の縮図ともいえる貴重な学びの場となるでしょう。

今後もUWCカレッジは世界各地において開校が計画されており、異文化を理解し国際的な感覚を持つ人材の育成に大きな貢献を行っていく予定です。

日本がよりグローバル社会へ適応していくためにも、UWCカレッジのような教育機関が子供たちの選択肢の一つとして注目されるのではないでしょうか。