「旅をしながら学ぶ」というなんともユニークなスクール「インフィニティ国際学院」。
ユニークな特徴はほかにもたくさんありますが、その一つとして挙げられるのが、チューターの存在です。
前回の記事でも触れたように、インフィニティ国際学院では、一方的に教える講師の代わりに、生徒さんと共に学ぶ存在としてチューターがいます。
チューターは、生徒さんと共に学びを進めつつも、生徒さんの視野が狭まった時には問いかけによって視野を広げてくれる、そんな存在です。
そこで今回は、インフィニティ国際学院のチューターである蔵本さんに独占インタビューをしてきました!
蔵本さん自身のキャリアや、教育に対する思い、これからのビジョンなど、赤裸々に語っていただきましたので、ぜひご覧ください!
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「教育をどうにかしたい」と思った学生時代
ーー 本日はよろしくお願い致します。
蔵本 はい!お願いします!
ーー まず初めに、大学時代に教員志望だったとお話をお聞きしたのですが、教員志望だった理由と教育に対して熱量を持ったきっかけを教えてください。
蔵本さん 教育をどうにかしたいと思ったのは、高校二年生の時でした。そもそもその高校に行きたいと思った理由が、好きな人がそこの高校に行くのと、学校は青春をするためのものだと思っていたからでした。そのため、頭の良し悪しだけで人を判断する雰囲気の進学校に行ってしまったんです。成績も良くないまま進学したので、勉強ができなくても学校行事や部活などで頑張ろうと考えていましたが、先生には「まずは勉強しろ。偏差値がないと勉強以外のことを頑張ったってそれが何にも活きないぞ。」と言われました。私はその時に、自分の良さを認めてもらえないんだなと感じてしまい、とてもショックでした。さらに、自分の中で火がついたのは、「大学行けないとかクズすぎ、生きる価値ないでしょ。」という自分への悪口をクラスメイトが言っているのをたまたま聞いてしまった時で、その時「絶対この人たちよりもいい人生送って見返してやる」と思ったんです。そもそも自分に合わない場所を選んだ私が悪いのですが、当時の私は、偏差値で良し悪しを決める環境に我慢するか、自分が環境を変えるか、の2択しかないと思い、だったら自分が変えてやろう!と決意し、そこで「教員になりたい、こんな世の中変えてやりたい!」と強く思いはじめました。
ーー 自分の周りの環境に対して不満があったのがきっかけなんですね。高校行って、大学に行く、それが正しいレールだという教育を受けている子供たちは実際多いですよね。そういう子供たちの選択肢を広げてあげたいと僕も思います。
蔵本さん そうですね。大人ができることは選択肢を与えてあげることではなく、見せてあげることだと思います。あなたはこのくらいの偏差値・点数だから、この学校です、だと入学してから違和感を感じる生徒が多いのは当然で、本当は生徒自身が自分の意思でこの学校に行きたい、と言えるようにサポートするのが理想だと思っています。
ーー その後、大学卒業後に教育業界に進んだとお話を聞いたのですが、その当時のお話を詳しく教えていただけないでしょうか。
蔵本さん 教育を変えるには教員になるしかないと思っていたので、教員免許を取るために大学に行きました。経験のために、大学3年生のときに中学校でアルバイトをさせてもらったのですが、その経験が、後に大学卒業後、とある学園に就職したいと思うきっかけになりました。
そこの中学校の職員室は雰囲気がドヨーンとしていて、40人くらいがいる職員室で誰も会話をせず、協力し合わず各々授業の準備をしていました。また、生徒の話をしてる人がいてもその話は学校運営を主体とした生徒を否定するような話が多くて、私はそこでがっかりしました。
私のアルバイト内容は不登校生が週に1回集まるクラスの補助で、一般のクラスに戻すことが最終的なゴールでしたが、一般のクラスの先生との連携が全くない状態でした。私が、「一般のクラスに戻す準備をするために、なぜその先生と連携しないんですか」と聞いたら、不登校クラスの担任の先生は、「みんな公務員で自分の任務さえ終わればいいという考え方の人も多いから、私はあんまり期待してないんです。目の前の子どもたちが笑顔でいてくれたらいいので、そこまで求めないし自分も動く必要はないかなと思ってます。」と言っていました。
そういう現状を目の当たりにして、先生は自分がなるものじゃないと思い、学校で働くことをやめ、就職活動をすることを決めたんです。就職活動は、人の可能性を引き出せる仕事で、かつ一生心に残る時間に携われる、そしてこの人たちと社会を変えていくお仕事をしたいと思えるような人がいる、という3つの軸で行い、結果、とある私立の学園に魅力を感じ、就職することになりました。
就職してから起こったある大きな出来事
ーー 教員免許を取るために大学に行ったにも関わらず、実際の現場を見て大きな衝撃を受けたのですね。しかし、「社会を変えたい」という思いは変わらず持ち続けているところがとても素敵だと感じました。では、そこの学園に就職した後はどんなことをしたのですか?
蔵本さん 全国に色々な学校を展開している学園だったので全国転勤がありました。自分の中でビッグなことをしたいというのもあって、関東で新規事業を立ち上げたいという希望を出しましたが、私が最終的に配属されたのは福岡にある保育の専門学校の立ち上げでした。保育という分野に全く興味も知識もなかったので、私が伝えられることはほとんどないと思っていて、正直嫌だと思いました。はじめの頃は、上司や同僚に恵まれたこともあり、全力で取り組むことができたものの、唯一の新卒で、保育の知識がない私は、保育士になったときに大事なことや保育に関する知識を生徒さんに伝えることはできませんでした。結局私がどうなっていったかというと、出席率をあげることや校則を守るいい子を育てることに力を入れてしまったんです。結果、2年目で出席率1位、成績1位、就職率100%の”いい”クラスを作り上げたので、同僚や上司の評価は良かったです。しかし、私がやりたい教育は果たしてこれだったのかと気づかされる出来事があって、変わりました。
ーー ありがとうございます。結果を残し、職場から認められている中で、本来の自分がなりたかった像や初心に立ち返ろうと考えたきっかけはなんですか?
蔵本さん 人生の中でも最も大きなインパクトとして残っている出来事なのですが、当時、私の中で、一番”よく”仕上がったなと感じるクラスがありました。しかし、その中に一人だけ、唯一出席率が悪く、成績もよくない生徒がいました。その子が、ある日のホームルーム中に化粧をしていたので、私が化粧道具を取り上げたら、その子に殴られたんです。
結局その子は停学になってしまったのですが、学校側は停学期間中に奉仕活動をしてもらうことで復学させましょう、という判断をしました。担任の私は、他の先生と順番に奉仕活動の監視を行うことになったのですが、ある日、その生徒が、私と奉仕活動をするときよりも、他の先生と奉仕活動するときの方が明らかに自分のことを話していることに気付きました。私の場合は、2時間無言だったこともあります。そこで私は、「何か思ってることあるならいいなよ」と促したのですが、その時に、その生徒は泣きながら、「私のいいところって何か言える?」と聞いてきたのです。
そのときに自分の心にナイフが刺さったようにショックで、その子を自分が定めた水準に引き上げることが成長と思っていましたが、彼女にとっては”自分”という個性をただ認めてほしかったのだと気付かされました。また、同時に私の高校時代を強く思い出しました。私もできないことじゃなくて、できることを認めてほしかったし、可能性を広げてほしかった。そして、そういう社会にしていこうと決意したあの日のことを。
結局、その殴られたことがきっかけで自分の中で目が覚め、ここにいたら自分が優等生を製造する存在になってしまうと思ったので、環境を一気に変えようと思い、退職することを決めました。
ーー ありがとうございます、とても響きました。人はできない部分に目が行きやすいため、できているところを褒めるというのは意外に難しいですよね。蔵本さんが結果を残している中、初心に戻ったきっかけのお話を聞けて良かったです。また、そういったことで環境を一気に変えようと決断できることもすごいことだなと感じました。
JICA海外協力隊としての活躍と学び
ーー その後、JICA海外協力隊として活躍されたとお聞きしましたが、応募したきっかけやザンビアに行かれた理由を教えてください。
蔵本さん 先ほどの経験もあり、全く違う環境に移ることを決めました。教員時代の長期休暇では、フィリピンのカオハガン島というところに毎年行っていました。そこは、東京ドーム1個分くらいの大きさで、水道も電気もガスもなく、その当時は300人くらいの島民が住んでいました。一年に一回しか行かないにも関わらず、私のことを覚えてくれていて、英語すらわからない私を受け入れてくれることにとても喜びを感じ、こんな島民たちのような広い心を持った人になりたいなと思いました。当時の私の発想は、不便な生活をすることで、こういった大事なことに気が付けるのだと思っていたため、まだまだ発展していない国に行こうと思ったのが元々のきっかけでした。なので、JICAボランティアをやりたい、国際協力をしたいという気持ちよりも、自分を更生するためにそういった環境に身をおきたいと思い、応募しました。ザンビアに行った理由としては、私は英語力がなかったため、自分が行きたい国を選択できる権利がなかったというのが本音です。ザンビアを選んだというよりもザンビアしかなかったというのが正しいかなと思います(笑)
ーー そうなんですね、ありがとうございます。ゆっくり自分を見つめる時間を取るということは非常に大切だと私自身感じます。では、実際の現地活動を通して受けた印象と、学んだこと、自分の中での変化を教えてください!
蔵本さん 私は村の小学校の先生としてIT支援を行っていました。生徒は小学1年生から中学3年生までいて、大体2000人でした。その中で苦労したことは、村の生活と先生とのコミュニケーションだったと思います。村の生活が大変であることはもちろん覚悟はしていましたが、水道がないので毎日井戸で水をくまなくてはいけなかったり、コンロもなく火起こしをしなくてはいけなかったりなど、慣れるまでは本当に大変でした。また、それらに加えて先生という役職もこなすのは非常に苦労しました。ですが、生活で困ったときにいつも助けてくれるのは現地の人たちで、そこでコミュニティの暖かさとか心の豊かさを感じられたのが良かったです。
また、現地での活動として授業カリキュラムの改善をする大きなプロジェクトを担当したときには、ザンビアの先生とのコミュニケーションに苦労しました。大きなプロジェクトであるため、私は使命感に駆られ、一緒に仕事をしているザンビアの先生に対して厳しく言ってしまうこともありました。一方、ザンビアの先生は、先生というよりも、生徒と同じ一人間であるというスタンスで、しっかり喜怒哀楽も出しますし、提出の期日を普通に過ぎることなどもよくありました。私はそこでのギャップと、それを埋めるためのコミュニケーションに苦労しましたが、結局自分を大事にしながら生き、まずは自分の心を豊かにすることで、見える視野も広がると思いはじめ、時には自分を優先して生きることの大事さを学びました。
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インフィニティ国際学院との出会い
ーー インフィニティ国際学院さんに出会ったきっかけや魅力を感じたポイントを教えてください!
蔵本さん 自分を大事にしたい、大事にできるという価値観は日本では通用しないと考えていたので、海外で生活したいと思いました。また、自分を活かせるのは教育だと確信していたので、海外で教育に携われるところを探していました。ですが、英語が苦手な私が海外で教育に携わるのは難しいとも同時に思っていました。そんな中、「世界で旅しながら学び合う学校ができます」というインフィニティ国際学院のプレスリリースを見ました。個性を大事にする、世界を旅しながら学ぶといったコンセプトを見て、こういう変わった学校には面白い人が集まるだろうなと思い応募しました。一回断られているんですが、そのとき、生徒と一緒に学ぶポジションがあったほうがいいと思うので検討しておいてください、と伝えておき、帰国間際にお声がけいただいて働くことになりました。
ーー ありがとうございます。そういった行動力が蔵本さん自身を形成しているのだと改めて感じ、かっこいいなと思いました。ちなみに就職する前にどんなことをインフィニティ国際学院でやってみたいと思っていましたか?
蔵本さん 2つありました。1つは、学生と旅をしたいと考えていました。以前はアフリカに対するネガティブなイメージを持っていましたが、実際にJICAをのボランティアをすることによって、帰ってきたときには大好きになっていました。自分自身への考え方や価値観を変えることができる「旅」を、学生と一緒にしたいと考えていました。
もう1つは、教育の選択肢の幅を広げられればいいなと考えていました。所得によって教育の格差が生まれるのことは残念なことだと思っているので、教育格差を埋めるようなことができればいいなと考えていました。
ーー ありがとうございます。一度目の応募から実際に入るまでインフィニティ国際学院への熱意が冷めなかった理由はなんですか?
蔵本さん インフィニティ国際学院に入りたいだけだったら時間が経つにつれてそこへの想いは薄れていくと思うのですが、断られた4ヵ月後に再度声をかけてもらって入りたいと思ったのは、私の子供たちと海外で活動したいという思いや、教育格差をなくし、色々な人に可能性を与えていきたいという夢が自分の中でぶれなかったからだと思います。
インフィニティ国際学院に入ってみて
ーー インフィニティ国際学院に入る前と入った後でギャップの有無を教えてください。
蔵本さん ギャップは2つあって、1つ目はゴールを設定しない点です。前の学校では、上の人たちが大枠を決めて、担当者を割り振ってゴールを決めて、それからのステップは自分たちで考えて、というやり方だったのですが、インフィニティ国際学院はゴールを定めません。そのため、先生たちみんなで学校を作っていくという想いが強く、それこそ最初は戸惑いましたが、今ではそういうインフィニティ国際学院の雰囲気やスタンスが大好きです。
2つ目は、自分が思ったより、まだまだインフィニティ国際学院の存在が知られていなかった点です。当時のインフィニティ国際学院では、学校の中の情報を外部に発信しておらず、集まる生徒さんや先生が非常に少ない状況でした。だからこそ、多くの人に教育の機会を届けたいと思い、発信に力を入れていこうと思いました。
ーー ありがとうございます!それでは、チューターという職業を選んだ理由について教えてください。
チューターを選んだのは、学院の運営に携わりたい、学生と一緒に学びたいと思っていたからです。チューターのいいところは、これをやる仕事と明確に定められているわけでなく、自分で考え、様々なことにチャレンジできる点です。先ほどお話ししましたが、私は発信が今後重要だと考えたため、今では広報として外に発信するお仕事もやっています。
蔵本さんの教育に対する思いとこれからのビジョン
ーー日本の教育に対して、今後どのようになっていってほしいか。また、どんな学生が増えてほしいですか。
蔵本 個人的な意見ですが、教育を通して、生徒・先生関係なく、挑戦をやめない人が増えてほしいなと思います。子供たちだけが成長していっても大人は置いてかれるばかりなので、大人も仕事だけでなく、自分のやりたいことを常にアップデートして成長し続けることを心がけてほしいです。また、そうすることで、子供たちの可能性を広げるきっかけを作ってあげることができると考えています。
ーー高校を出て大学に入り、就職するといった、従来の一般的なルートに対する考えを教えてください。
蔵本 義務教育に対して否定的な考えはないですが、もう少し選択肢があればいいなと思います。もちろん今までの義務教育でも視野が広い人もいます。ただ、私は義務教育が合ってないと思って道を外れたことで、違う視点に気がつけた人間なので、色々な形があってもいいと思います。自分が学びたいタイミングで学べればいいと思いますし、高校卒業後にギャップイヤーという形で視野を広げるものありだと思います。そして、教育は子供が受けるものという考えではなく、大人でも学びたいタイミングで学べることを多くの方に伝えたいです。
ーー蔵本さん自身、これからどのようなビジョンで教育に携わっていく予定ですか?インフィニティ国際学院の中でやりたいことを含め、今後個人的にやりたいことや、成し遂げたいことはなんですか?
蔵本 この世に色々な個性がありふれていい、という広い価値観を持った人たちが増える世の中になったらいいなと私の中では考えてます。なので、私が今やるべきことは、まずは今関わっている教育から変えることだと思います。そういう意味で、今後、教育に対する見方を変えていけるのは、インフィニティ国際学院だと考えているので、より多くの人に知ってもらえるように、私たちの活動を外部にしっかり伝えていきたいです。
ーー最後に、学生さん(主に小学生, 中学生, 高校生)に一言お願いします。
蔵本 自分は自分でいいんだよってことを一番伝えたいです。やっぱり周りは色んなの評価軸だったりとか、未だに成績とかそういうもので自分のことを測る人たちもいますけど、必ず自分が輝ける場所はどこかにあるので、そういった場所を見つける、または作ることができればいいと思っています。自分ができないことに対して否定をされてもあきらめなくていいし、自分が輝ける場所を見つけ出せるように頑張ってもらいたいです。
さいごに
今回はインフィニティ国際学院のチューターとして活動している蔵本さんにインタビューさせていただきました!
学生時代の教育に対する思いや、就職先で起こった蔵本さんの人生の教訓となるような出来事、そしてインフィニティ国際学院との出会いなどを詳しく語ってくれました。
教育に対して熱い想いをお持ちの蔵本さん。インタビュー中に、ついつい弊社のインタビュアーが熱くなってしまう、そんなインタビューでした!
蔵本さん、本当にありがとうございました!
今回の記事をみて、ご興味を持った方は、ぜひインフィニティ国際学院のホームページ・SNSものぞいてみてください!
また、蔵本さん自身もTwitterで発信しているので、ぜひ蔵本さんのTwitterもフォローしてみてくださいね!
【蔵本さん Twitter】
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