みなさんは、近年人気が高まっている、モンテッソーリ教育についてご存じでしょうか。
近ごろは、将棋の藤井聡太棋士が幼少期に受けていた教育として、有名になりました。
また、フランスではモンテッソーリ教育を受けている子供たちを「観察」したドキュメンタリー映画『モンテッソーリ子どもの家』が作成され、日本でも本上まなみさんや向井理さんのナレーションで吹き替えされたものが公開されました。
広く知られるようになったモンテッソーリ教育ですが、ときとして、早期教育や幼児教育の一つと誤解されたり、知育玩具のことと捉えられたりするケースもあります。
そこで今回は、モンテッソーリ教育について、特徴や内容、詳しくみていきたいと思います。
どうぞ最後までご覧ください。
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モンテッソーリ教育とは!
モンテッソーリ教育とは、イタリアで初の女性医師であるマリア・モンテッソーリが、子供たちを根気強く観察する中から編み出した、科学的教育法のことです。
モンテッソーリ教育の現場では、子供たちがそれぞれの成長段階で、自分で選ぶ「教具」を使って「お仕事」と呼ばれる作業を、心ゆくまで繰り返します。
また、幼稚園などの教育機関・先生(指導者)には、子供たちが成長するために必要な環境を整え、子供たちをよく観察し、見守る姿が求められます。
モンテッソーリ教育は、教具と理論とが相まって一つのメソッドになっており、いわゆる幼い子が早く文字や数字などを覚えるための早期教育とは異なります。
日本では、学校教育が自由化されておらず、小学校以上の教育機関で取り入れるのが難しい現状があります。
しかし、海外のような浸透とはいきませんが、幼稚園や保育園では、モンテッソーリ教育を取り入れている幼稚園も多く存在しています。
教育というと、従来の学校教育のように、知識を与えることをイメージしてしまいますが、モンテッソーリ教育は旧来の教育とは違い、「子供が自ら選択し、自ら力を伸ばしていくための環境を整え、見守る」ことを大切にしています。
モンテッソーリ教育が注目されている背景
GoogleやAmazonの代表たちや、イギリス王室など、著名人が受けてきた教育として有名なモンテッソーリ教育。
現在、世界的にも注目されているこのメソッドは、いつごろできたものなのでしょうか。
マリア・モンテッソーリは、1870年にイタリアで生まれ、1952年に亡くなりました。
モンテッソーリは医師として、社会に対して貢献したいと考えていましたが、当時は医療界も男性社会で、女性が医療で活躍することが難しい現実がありました。
やっと職を得た精神病院で、子供たちに感覚教具を与えるなどの治療を行う中で、知能が向上するという成果を発見。
そんな中、モンテッソーリは、スラム街の改善を目的として建てられたアパートに住む子供たちを集めた「子どもの家」の教育を依頼されました。
精神病院で子供たちが使っていた教具をアレンジして与えたところ、集中して取り組み、彼らは徐々に正常化していくという成果が表れました。
当時の教育界からも注目される中、教育の実践をまとめた著書『モンテッソーリ・メソッド』がイタリアで1909年に発表されました。
1912年に英語訳版が出版されたことで、広く読まれるようになったという背景があります。
モンテッソーリ教育の特徴
モンテッソーリ教育では、自分で選択した、手指を動かす「感覚教具」で繰り返し練習し、五感を刺激します。
その作業に没頭することで、集中現象がうまれ、体と心を統一していきます。
これは、知識を与える教育とは大きく異なっている点で特徴的だといえるでしょう。
子供は、自分の内なる声に従い、いま成長させたい分野を教具での練習を通じて発展させていくのです。
著書『モンテッソーリ・メソッド』には、「教具は、すべての間違いを制御する。」と書かれています。
教具は、子供が試行錯誤することによって、間違いに自分で気づき、修正ができるように作られています。
そして、一つの教具で一つの内容を練習するようにできています。
また、モンテッソーリは、オランダの生物学者ド・フリースから示唆されて子供たちを観察したところ、敏感期が人間にも起こることを確認。
敏感期とは、成長段階で一定のことに敏感な反応を示し、一つのことを習得するとそのこだわりが全くなくなる現象のことで、主に、乳幼児期に集中して起こってきます。
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モンテッソーリ教育の内容
モンテッソーリ教育は、幼児期だけの教育法ではありません。
0~24歳までを対象としており、6歳ごとの4つの発達段階で区切って考えています。
0~6歳は乳幼児期、6~12歳は児童期、12~18歳は思春期、18~24歳を青年期としています。
モンテッソーリ自身も「0~6歳の間は、その後の長い人生を生きていくのに必要な、80%の能力が備わる、もっとも大切な時期である」(『モンテッソーリ教育で子どもの本当の力を引き出す!』より引用)と語っています。
ここから、乳幼児期の発達などについて解説していきたいと思います。
前期(0〜3歳)
粗大運動の活動
粗大運動とは、生活するうえで必要な動きであり、バランスを取ったり、歩いたり走ったりといった体全体を動かす運動のこと。
0~6歳、特に0~2歳の子供は体を動かしたいという本能を備えています。
危なくないように大人が見守りながら、ずりばい、坂道を歩く、ぶら下がる、ジャンプする、三輪車などをこぐといった活動で練習できます。
微細運動の活動
微細運動とは、手や指先を使った運動のこと。
握る、落とすなどの、細かい運動を通じて身につけていきます。
日常生活の練習
粗大運動と微細運動を合わせた活動で、日常生活の中で手指や体を動かし、環境に適応していく練習を繰り返します。
植物に水をやる、ぞうきんがけをする、買いもの袋を運ぶなどの活動があります。
言語教育
胎児期~3歳ころは話しことばの敏感期であり、発達段階に合ったステップで、自身の周りで使われている言語を習得していきます。
感覚教育
モンテッソーリは、ルソーの感覚教育に対する考え方の影響を受けつつ、「子供には無意識に環境をまるごと吸収する精神を持っており、その取り込んだ感覚が感覚教具を扱う中で整理される」という考えを持っていました。
子供たちは、感覚教具に触れることで、感覚を洗練させていきます。
音楽
音楽を聴いたり、楽器を演奏したり、歌ったり、踊ったりと、子供たちは、音を聴いて体を動かしたり表現したりする能力を伸ばしていきます。
美術
子供たちは、絵を描いたり、粘土をこねたりして自由に表現することを楽しみ、成長していきます。
後期(3〜6歳)
後期では、前期で無意識に全体的かつ微細さももって吸収してきた多くのことを、意識的に整理していきます。
体を動かしながら、秩序化していく時期になっています。
日常生活の練習
日常生活の活動を通じて、体を動かし、手先を動かす運動を重ねる中で、心と体が統一されていきます。
模倣期と運動の敏感期が重なり、自分の身体を思い通りに動かす力を身につけるよう、練習を行います。
包丁を使って切ることや、洗濯をするなどの日常生活の練習を行う活動では、子供が使いやすいサイズのものを使用します。
特に指先を使う動きである、にぎる・落とすや、通す、折る・たたむ、縫う、切る、貼るなどは、家庭でも取り入れやすい活動です。
感覚教育
3~6歳の間は五感が発達する、感覚の敏感期があります。
感覚教育では「視覚」「触覚」「聴覚」「嗅覚」「味覚」を刺激し、知的教育分野の基礎を作ります。
ピンクタワーや色板などカラフルな教具や、はめ込み円柱、茶色の階段などの教具を使用します。
言語教育
文字を読むことからはじめる一般的な文字の教育とは違って、モンテッソーリ教育では、書くことからはじめます。
それは、子供は書くことへの欲求が先だからです。
鉄製はめこみの教具からはじまり、砂文字を指でなぞる、彫文字を棒でなぞる、なぞり文字、文字を書くといった順番で、いくつもステップを踏んで文字を書けるように練習していきます。
読む段階では、文字をスムーズに発音できて意味も分かっている状態になります。
単語カードを読む練習をし、小さい本などで言葉を読み、次第に絵本などを読むようになっていきます。
算数教育
数を数えたくて仕方が無かったり、目にした数字を一つずつ読んでいったり、数字や量などに興味を示す、数の敏感期が訪れます。
モンテッソーリの算数教育では、いきなり計算を教えるのではなく、目で見て、手で触れて、一つひとつ数えてみて、数を体得していきます。
モンテッソーリの教具は、ものを数える、数字を書く、ビーズを数える・銀行ごっこなどをして十進法を学ぶ、といった活動を経て、連続数や暗算の計算など高度な段階へと進んでいきます。
文化教育
モンテッソーリ教育の「文化教育」では、地球や星から世界地図・日本地図、宇宙の歴史・四季やカレンダー、生きものの飼育や栽培、絵画制作や歌唱などの幅広い範囲を取り扱います。
一般に理科や社会、美術、音楽といった分野が文化教育になります。
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モンテッソーリ教育のメリット
モンテッソーリ教育では、選択と集中の繰り返しにより、周りに左右されず、自己を研鑽する力を身につけることができます。
また、学ぶことを通して、並べる、分ける、比べるといった分析力や、試行錯誤する力が身につくといえるでしょう。
これはなぜ必要なのか?といった、理由を問う姿勢が身につき、探究する精神が培われます。
こうして適切な時期に適切な練習を繰り返した子供は、その後の人生において、可能性を大きく伸ばすことができ、自己肯定感を高めることが可能だといいます。
モンテッソーリ教育のデメリット
能力の高い人材になれる、理想の教育のように思えるモンテッソーリ教育ですが、デメリットがあるという指摘もあります。
モンテッソーリ教育では、自己選択と集中の時間を多くとっており、集団で時間割によって生活するという習慣はないため、協調性がない人間になると不安視されています。
また、「なんでも自由にさせる教育のため、わがままになる」と捉えられることがあります。
ですが、モンテッソーリ教育では、子供は成長と同時に善悪の判断も学んでいるため、「してはいけないことはしてはいけない」ときちんと大人が示すとしています。
そのため、善悪の判断のつかない人材には育ちにくく、むしろ内省的な分、冷静に判断する能力を養っていけるといえるでしょう。
そのほかにも、室内で内省的な活動が多く行われるため、幼児期における運動不足を心配する声もあります。
幼稚園や保育園を選ぶ際には、カリキュラムの中に、外遊び時間を確保しているかどうかを確認するとよいでしょう。
また、帰宅後などの家庭での時間は、積極的に体を動かすよう意識しましょう。
モンテッソーリ教育の現状
海外の状況
アメリカにおけるモンテッソーリ教育は日本よりはるかに盛んで、2度のモンテッソーリ教育のムーブメントが過去に起こりました。
就学以前の教育のみではなく、小学校から大学まで、幅広い年代で取り入れられています。
いまや世界を代表する企業の代表者である、Googleの創業者セルゲイ・ブリン氏とラリー・ペイジ氏や、Amazonの創業者ジェフ・ベゾス氏などがモンテッソーリ教育を受けていたことは有名です。
モンテッソーリ教育を受ける中で、プログラミングへの探求心や、精神力が求められる経営者にとって必要な素養が身につけられたということかもしれません。
また、ヨーロッパでもモンテッソーリ教育は取り入れられており、モンテッソーリが長く滞在したオランダにはモンテッソーリ・スクールが多くあります。
ユダヤ人迫害のためオランダに移住してきたアンネ・フランクも、モンテッソーリ・スクールに通っていました。
また、モンテッソーリはインドにも長期間滞在していたことがあり、インドではモンテッソーリを取り入れた教育機関も多くなっています。
日本の状況
日本でモンテッソーリ教育に関する資格は、次の3つの団体で取ることができます。
- 海外も含めたモンテッソーリ教員資格が取れる 国際モンテッソーリ協会(AMI)
- 国内のみのモンテッソーリ教員資格が取れる 日本モンテッソーリ協会(JMI)
- 独自の資格のため教員資格ではない 日本モンテッソーリ教育綜合研究所
日本でのモンテッソーリ教育は、近年注目を集めていますが、まだまだ海外に比べて数は少ない状態です。
幼稚園や保育園は取り入れているところも徐々に増えていますが、小学校は3校ほどになっています。
現在、モンテッソーリ教育の小学校開講を目指して努力している動きもありますので、今後増えていく可能性があります。
まとめ
100年以上の歴史のあるモンテッソーリ教育。
モンテッソーリ教育は、科学的教育法であり、6歳ごとの4つの発達段階で区切って考えていたり、敏感期の概念や教具の使用だったりが特徴的です。
ぜひ、お近くのモンテッソーリ教育を取り入れている教育機関を探してみてください。
また、家庭でも日常生活の練習などを取り入れることもできるので、お子さんと一緒に挑戦してみるのもおすすめです。
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