「アクティブ・ラーニング」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
2014年頃から世間に広く浸透されるようになり、現在では校種問わず瞬く間に教育現場に導入され、今注目されている学び形態の1つです。
今回は、そんな「アクティブ・ラーニング」の起源や導入された背景、具体的な取り組みから日本と海外で実施されている実例まで幅広く解説しますので、是非楽しみながら読み進めてください。
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アクティブ・ラーニングとは
アクティブ・ラーニングとはその名に「アクティブ」とある通り、積極的な授業への参加を促す授業や学習法の総称のことをいいます。
従来の授業というのは、教員が生徒に対して一方的に講義をする形式で、いわゆる「受動的」な授業スタイルでした。
しかし、このアクティブ・ラーニングとは「受動的」の真逆になりますので、「積極的に自ら能動的に学習を行う」ことなのです。
具体的には、生徒による体験学習やグループディスカッション、ディベートなどグループごとの活動を中心として、教師による一方的な指導ではなく、生徒が主体的に考え・発言し・お互いの考えを深め合うといった学び合いの機会を持つことを目的とします。
アクティブ・ラーニングが重要視されている背景
このアクティブ・ラーニングは、「21世紀型教育」という言葉に置き換えられる事もあります。
しかし、アクティブ・ラーニングの考え方自体は、元々大学教育の中ですでに導入されていました。
それがなぜ今となって、教育現場全体に導入する大改革となったのか、詳しく順を追ってご説明します。
知識偏重型教育からの脱却
アクティブラーニングとは前述したように「積極的に自ら能動的に学習を行う」です。
これは、急激に変化していく現代社会・国際社会の中において、問題に対して柔軟かつ臨機応変に対応できる力を育成する必要があります。
アクティブ・ラーニングでは総合的に物事を分析し考え、それを言葉にしてお互いに伝え合うという実践の場であり、問題解決能力を養う場でもあるのです。
従来の授業はどちらかというと受け身な授業で、教えられた事を一所懸命暗記したり、問題に答えるという「知識偏重」でした。
アクティブ・ラーニングでは、答えにたどり着く前の「試行錯誤」に考え、考えたものを「表現」し、「最終的な解決策を導き出す」までが1つの流れになりますので問題をより多角的に捉える力が身につきます。
「答えのない問題」へ対応するために
変化の激しい社会ということは、様々な価値観や多様性の中に身を置いて自らも柔軟に対応するだけでなく、答えのない問題にぶつかり、答えを導き出さなくてはならない時があります。
その答えのない問題にどう対処していくのか、それは決して教科書の中での一次元的な物差しで測るのではなく、もっと広範囲から多角的に検討していかなくてはなりません。
そのためには、自らの中に多様な価値観を有しておく必要があります。
アクティブ・ラーニングの中には「自分の考えを適切に表現する」ことが求められますので、互いの考えに触れながら自らの考えを深めていく貴重な機会となります。
急速に変化する世界に向けて
日本では1980年代から1990年前半にかけてバブル経済の絶頂とその崩壊までを目の当たりにしました。
それに続き押し寄せたネット社会到来や国際化など、過去10年を見てもかなり社会は変わってきています。
社会の仕組みもただ単に欧米にならうのではなく、日本らしい価値観や文化や伝統を大切にする一方で、標準化や均一化といった事から脱却しなければならなくなりました。
つまり、社会や世界の中で「自ら道を切り拓いていく力」が非常に大事なのです。
その創造力というのはただ知識を身につけるに留まらず、それをどう活用していくのかというより実践的な力が試されます。
そのため、様々な方向から実践的な力を伸ばせるアクティブ・ラーニングが急速に導入されているのです。
アクティブ・ラーニングの役割 / 導入効果
文部科学省によればアクティブ・ラーニングの特徴を以下、挙げております。
- 学生は、授業を聴く以上の関わりをしていること
- 情報の伝達より学生のスキルの育成に重きが゙置かれていること
- 学生は高次の思考(分析、総合、評価)に関わっていること
- 学生は活動(例:読む、議論する、書く)に関与していること
- 学生が自分自身の態度や価値観を探究することに重きが置かれていること
- 認知プロセスの外化を伴うこと
これら上記を行うことで「学生にある物事を行わせ、行っている物事について考えさせること」 という知識の深化を目指しています。
大学では早期の段階でこの理念のもと授業改革を行なってきましたが、小中高においてもアクティブ・ラーニング最大の特徴と役割は、「考えること」と「伝え合うこと」です。
実際の導入効果なのですが、多くの現場においてフィードバックはとても良好で、多くの生徒がこの新しい授業スタイルを好意的に受け止めています。
これは学習に対する意識や意欲にプラスの影響を与えているといえます。
しかし一方で、アクティブ・ラーニングで目指す能力の育成は数値化しにくいこともあり、成果が見えにくいことや、知識定着に時間がかかりすぎるため、落ちこぼれてしまう生徒も出てくるのではないかという懸念もあり賛否両論です。
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アクティブ・ラーニング重要ポイント3つ
アクティブ・ラーニングの成功や失敗というのは、実際のところ先生と生徒、双方の力量にかかっているといえます。
いくら教師側が良い学びの場を提供しても、考えて話し合うための前提知識が生徒になければ知識は深まりません。
逆に教師側もただグループ学習をさせるといった表面的な活動のみで、目標設定から解決に至るまでの道しるべをきちんと提示しなければ、目的意識を失った空っぽの授業になってしまいます。
深い学び
アクティブ・ラーニングという理念は、一言では言い表せない様々な含みがあります。
最終的な問題解決というゴールを目指すまでに、「問題発見」してそれを「多角的に分析」し、「各々よく考えて自分の意見をまとめて話す」ことです。
そしてこれには自分の知識を総動員し、物事を順序立てて説明しなければならないのです。
その上で「他者との討論」をし「さらに自分の考えを深める」という試行錯誤が大切になります。
そして最終的に「問題に対する答え」を導き出し、それを「実践」する、この1つ1つのプロセスが全て深い学びへと繋がるのです。
しかし実際にこの「考える」というのは、言葉にすると簡単そうに思えますが、実際には生徒の学力レベルによってどの程度物事を「深く考えられるか」というのは全く異なります。
メンバーそれぞれ異なる能力値で、全員が同じレベルの理解度に達するというのはかなり難しいことなのです。
そのため、教師は常にその集団に対して適切なレベルの目標を用意しなくてはなりません。
対話的な学び
また考えを深め合う過程において欠かせない「対話」ですが、これも練習が必要です。
文部科学省が公表した「平成29年度全国学力・学習状況調査」が、とても興味深い結果となりました。
アクティブ・ラーニングを積極的に行なっている学校の生徒の中で成績優秀な生徒は家庭も経済的に裕福であり、一方でアクティブ・ラーニングをあまり行なっていない学校の生徒を見ると、家庭の経済力は成績にあまり関係しないことがわかりました。
これはひょっとしたら、知識偏重型の一斉授業では学力差をそこまで生まないが、問題解決能力などの思考力育成を目指すアクティブ・ラーニングは経済力のある家庭の子供にとって有利であると言えるのかもしれません。
つまり、家庭の経済力で学力格差を広げてしまう可能性があるということです。
実際、対話に必要なのはその下地となる知識はもちろんの事、「コミュニケーション能力」という言葉では一括り出来ない程の経験や実績が本人の中で根付いているかが重要なのです。
「話す力」だけではなく「聞く力」で相手に共感を示せるかや、相手の話を自分のことのように受け止め解釈できるかと言った双方的な能力が必要です。
主体的な学び
主体的(能動的)な学びで有名な学者といえば、エドガー・デールの「経験の円錐」が有名です。
参照:http://ir.lib.u-ryukyu.ac.jp/bitstream/20.500.12000/38611/1/No93p19.pdf
著書「学習指導における視聴覚的方法」で、その経験の円錐は以下のように学習経験を分類しています。
ピラミッドの1番から、
- 言語的象徴
- 視覚的象徴(図表やグラフなど)
- レコード/ラジオ/写真
- 映画
- テレビ
- 展示
- 実地見学
- 演劇的参加経験
- ひながた経験
- 直接/目的的経験
という順番になります。
ピラミッドの1番上にある抽象的な概念から、現実・具体的にどんどん掘り下げていく「経験」を11つに分類しています。
これ実際の学校に置き換えると、講義や読書などはピラミッドの上に来て、自分で行うデモンストレーションやグループ討論などはピラミッドの真ん中、そして1番下に「自らが体験する」事があります。
実際、学校で学ぶ知識の数々も、普段の日常生活ではあまり役に立たないと思われていても、実際に社会で何かの折に初めて使ってみて、あるいは自分がその状況に立たされてストンと腑に落ちるという事があるかと思います。
そのためアクティブ・ラーニングで目指す主体的な学びは、正しく活用することが出来れば学習の深化と定着に結びつくでしょう。
アクティブ・ラーニングの国内実施状況
2015年7〜9月における「高等学校における参加型学習に関する実施調査」(全国の高等学校2412校を対象)では、約75%以上の高校でアクティブ・ラーニングに関する何らかの取り組みを行なっていることがわかりました。
しかしさらに細かい内訳を見ると「教科として組織的に取り組んでいるわけではないが、独自に参加型学習に取り組んでいる教員がいる」が71%となり、組織的に系統的に実践している訳ではないようでした。
しかしそれが2018年になると、授業の中にアクティブ・ラーニングを取り入れていると答えた学校が90%以上にもなっており、学校全体で組織的に行なっているという回答が増えているため、段階的にこの新しい教育実践が現場に定着しているようにみられます。
教科別では外国語での導入率が最も高く、次いで国語・理科・地歴公民・数学となります。
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アクティブ・ラーニング導入時に先生たちが意識すべきポイント
ちなみにアクティブ・ラーニングでは教師型の手腕もかなり試されることとなります。
まず時間配分を考える必要があり、限られた時間の中で答えや結論を導き出すのは、ある程度の練習が必要です。
きちんと時間を区切って、かつあれよこれよと広げる事なくきちんとゴールに向けて道筋をこちらがある程度用意しておく事が大切です。
また、評価については、個別学力試験と異なり個々の能力を数値化しにくいですが、評価の基準をきちんと設けて、生徒にも目標と共に十分に評価基準を理解してもらう必要があります。
最後に、どんなに良いテーマや授業機会を用意しても、その集団の知的能力以上のものはうまないということです。
目標設定や評価基準と合わせて、教師側が生徒の学力の実態などをよく把握しておく必要があります。
余談ですが、小中学校全国学力・学習状況調査では平成26年度以降、アクティブ・ラーニングに関する項目の中で生徒は自己肯定感が年々増加傾向にあることを示しています。
生徒のやりがいや頑張ったという努力に、教員側の評価が一致していれば、それが生徒の喜びとなり学習の動機付けになる事が期待できます。
アクティブ・ラーニングの具体的な5つの手法
それではアクティブ・ラーニングを実現させるための具体的手法を5つ紹介していきます。
PBL(Project Based Learning)
PBLとは日本語で「問題解決型学習」や「課題解決型学習」のことをいいます。
1900年代初め頃アメリカの教育学者ジョン・デューイが提唱し、自ら問題に気づき発見しそれを解決する能力を養うことを目的としています。
ここでは生徒自身の自発性や関心・能動性を引き出すことが教師の役割とされているため、正しい答えに辿り着くかはあまり重要視せず、答えに辿り着くまでの過程を大切にします。
立てた仮説を検証していく「チュートリアル型」と、課題を実社会の中に設定し問題を検証していく「実践体験型」がありますが、教育現場においては一般的にグループ学習などのディスカッションで「チュートリアル型」を採用することが多いです。
PBLについて以前紹介しましたので詳しく知りたい方はこちらから。
PBL(課題解決型学習)とは?教育方法・メリット・国内外事例まで
探究学習
探求学習とは、生徒自らが課題を設定しそれに向けて情報を自ら収集・整理・分析、あるいは周囲の人との意見交換をしたり協働しながら理解を深めていく学習です。
PBLと少し似ていますが、ここで言う課題というのは教育現場では「職業に関する理解」や「進路に関する選択」、あるいは小学校の夏休みの「自由研究」などもこれに含まれます。
より実践的で現実に近い内容の課題を扱うPBLとは似ていても少し異なる印象です。
しかしこちらも情報収集能力や教材や文献など資料を用いるだけでなく、時にフィールドワークや観察・実験も行われます。
「自ら学び考える力の育成」を目的としているため、こちらもやはり総合的な考える力の能力育成を目指します。
ジグソー法
ジグソー法は、アメリカの社会心理学者であり、カリフォルニア大学名誉教授でもあるエリオット・アロンソンが提唱したものです。
当時、アメリカでは人種統合の真っ只中にあり、学校現場では白人と黒人の子供の間に教育レベルの格差がある事が問題となっていました。
ジグソー法ではまず、各グループにそれぞれ異なる課題を与え、学習します。
そして学習後、そのグループを分断し、別なグループを再編することで、今度は別な課題が学べる上に、自分が先ほどのグループで学んだことを周りの人たちに共有する必要があるので、必然的に誰しもが発表の機会と聞く機会、それらを総合的に学ぶ機会を得ることができるのです。
その後は個別の学力テストで理解度を確認しフォローもできるため、学力格差があっても全員一定の活躍を促せるのが特徴です。
KP法
KP法とは紙芝居プレゼンテーション法の略で日本環境教育フォーラム理事長の川嶋直先生が提唱したプレゼンテーションの手法になります。
A4の紙のマーカーで要点を書いておき、次々にそれを貼り出しながら説明をしていく方法です。
当然、貼り出せる紙の枚数には限界がありますし、キーワードを厳選する必要があります。
しかしその分要点を絞った、かつ道筋のはっきりとした説明が出来ます。
紙芝居の代わりにパワーポイントを用いることもあり、その場合はPP法と呼ばれます。
この場合、KP法よりも視覚的に関心を引くことができますし、より多くの情報を提供できますが、スライドが進むと以前の情報が消えてしまうといったデメリットがあります。
ピア・インストラクション
こちらはハーバード大学のエリック・マズールによって提唱されました手法で、学生同士の議論をメインとして、議論をしながら理解を深めていくといった内容になります。
最初にConcept Testと呼ばれる課題を出し、個々の生徒の理解度を図った上で議論をするので、基本的な知識を扱う講義型授業で行われることと、授業外学習と連携することが特徴となります。
そのため、PBLなどの演習を目的としたものとは異なる形態です。
アクティブ・ラーニング型授業の課題
これまでの説明の中でも、アクティブ・ラーニングの成果とともにその難しさも説明してきましたが、一定の効果は期待できるものの、教育現場においてまだまだ改善の必要があります。
1番大きな課題は教員と生徒側の手腕ということになりますが、これは現場で活躍されている教員が、どれだけその学習集団のことを的確に理解しているか、予想外の結果に行き着いた場合の咄嗟の対応能力など、成功に持っていくためには準備だけでなく経験もある程度必要になってきます。
そして当然ですが、ただ「話し合いの時間」を設けるだけでは、それは全く学習にはなりません。
こちらから、ゴールに至るまでの道順(どのように、どうやって、どのくらいの時間を使って)をきちんと提示したり、評価基準を理解させることなども必要です。
見た目以上に、教員側の入念な下調べや準備が必要になるため、実際の学校現場ではこれを嫌う教員が一定数いることも事実です。
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アクティブ・ラーニングの評価方法について
また、評価についてもアクティブ・ラーニングではそれぞれの多様な能力をどのように測るかが課題となっています。
アクティブ・ラーニングの最中の授業態度で評価する場合、そのグループ内での人間関係が少なからず影響するを念頭に起き、コミュニケーション能力をどう捉えるかといったこと細かな部分まで配慮する必要があります。
最低限、評価基準を明確にし生徒にきちんと公開すること、目標と授業の評価を一致させること、さらには生徒自身に自分の活動を振り返らせ自己評価と実際に自分が受けた評価について一致しているか、もしくは差異はどこにあったかという気付きで、自分に足りなかった部分に気づかせるということが重要になってきます。
また評価基準も難しいものでなくシンプルであればある程、目標と一致しやすいので分かりやすくなります。
国内でのアクティブ・ラーニングの実例
国内でのアクティブ・ラーニングの実例を2つ紹介します。
一般的には外国語や国語学習でのアクティブ・ラーニングの普及率が高く数学など理系教科での普及率が低くなっていましたが、次に取り上げる学校では、理系分野でもアクティブ・ラーニングを導入しています。
知識を伝授した後の発展的内容で活きる 広島県立可部高等学校の例
広島県立可部高等学校での1年数学Ⅰの授業で、単元は「三角比の三角形の応用」です。
全9時間扱いの中で、このアクティブ・ラーニングの授業7時目になります。
最初に正弦定理や余弦定理と言った前提知識を学び、この2つを用いて三角形の辺の長さや角の大きさを求めるといった簡単な練習を行った後、三角比を用いた三角形の面積公式を理解します。
その上で、さらに発展的な内容として「正弦定理、余弦定理を空間図形の軽量に応用する」でアクティブ・ラーニングを利用しています。
ポイントは、前半6時間で主に知識を詰め込み、2時間をアクティブ・ラーニングの時間に当てていることです。
結果「1人では問題を解けなかったけど、グループで考えを少しずつ出し合うことで問題が解けて嬉しく、自信が深まった」という好意的な結果が多数となりました。
知識深化には時間をかけて話し合う事が必要 北海道北高校の例
北海道札幌北高等学校では、3年理科(物理)の授業単元「電気と磁気」にアクティブ・ラーニングの時間を設けました。
同学校では「ブレインズオン(頭がもがいている状態)」の時に、アクティブ・ラーニングの時間を設けており、教え合いや学び合いといったアクティブ・ラーニングの実践が、知識のさらなる理解・深化へに有効だと示しています。
北高等学校では、授業時間を65分制にしているため協働学習の時間を十分に確保していることも特徴です。
「コンデンサーの仕組みを知り、コンデンサーを直列つなぎにしたときの電気量を計算により求めることができる」という授業のねらいは、これがそのまま評価となるため非常に明確です。
グループ学習後は、解決できたグループの代表生徒が、考えを板書し教員がまとめる形での解法共有を行うため、全体の課題解決への意欲が高まったり積極的に理解する姿につながったりしています。
海外でのアクティブ・ラーニングの実例
では世界の学校ではどのようにアクティブ・ラーニングが行われているのでしょうか。
アクティブ・ラーニングを導入した先駆けでもある先進国のアメリカの実例と、多様な価値観が混ざり合う大国オーストラリアの例をみてみましょう。
州によって義務教育の年齢や時期が微妙に異なりますが、基本的に年間授業日数は180日を下回ってはいけないことになっているようです。
ALの学びがそのまま「生きる」ことに直結、アメリカの例
アメリカの中でもボストン市は全米一多様な人種が住んでいると言われており、「英語」の授業(日本では「国語」にあたります)でつまずく生徒が小学校だと約30%もいると報告されています。
そのため、地域団体や企業なども積極的に参加し、チャータースクールでその地域の実態に合わせた課題解決を行っています。
そんなボストン市にある「エリオット・イノベーションスクール」では、年齢はおろかバックグランドも様々な生徒がいる教室で、個人の机はなく1つの大きな机に2〜5人で座り、「困ったら誰かに助けてもらう」という環境づくりをしています。
日本の小中学校のイメージとは大きく異なりますが、これも立派なアクティブ・ラーニングの1つであり、教科の枠組を超えた、互いが助け合って問題を解決する手法や、仲間と相談し合いながら知恵を見つけるのです。
全員異なる文化を持つからこそ共有が大切、オーストラリアの例
オーストラリアも移民が非常に多く、顔立ちだけでは国籍は断定できない程に多種多様な民族がいます。
ここにもやはりアメリカのようなチャータースクールも存在しており、移民としてやってきた親たちが英語環境で困らないように無料で英会話のレッスンをするコミュニティも多く存在します。
また、移民だけでなく地域によっては先住民族の多いところもあり、とにかくその価値観は多様です。
そのため、彼らは小さな頃から自分の文化的背景や価値観を他者に伝えていたり、聞く側も忍耐強くそれを理解しようという姿勢がベースに出来上がっているので、アクティブラーニングで行われていることが物心ついた頃から自然とできているのです。
この項では、アクティブ・ラーニングの事例を紹介していますが、多民族国家であるオーストラリアは学校の中でも、学校外でもアクティブラーニング用の学びのある環境があるのです。
まとめ
以上、長くなりましたがアクティブ・ラーニングの現状からその背景、日本と海外の実用例まで説明しました。
今後ますますアクティブ・ラーニングは世界でも日本でも主流になってきます。
その際に「欧米にならう」のではなく、日本らしい文化的背景を大切にした上で、日本ならではの教育方法が今後重要になってくるでしょう。
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