最先端教育

中学生年代における英語教育の現状・問題点・海外との違いとは

小学校において今まで「活動」という位置付けだった英語が新しく教科化され、小学校での英語教育が本格的に進んでいます。

小学校へ授業が前倒しになると同時に、中学校における英語教育のあり方も変化しています。

今回は、大きな転換期を迎えている日本の英語教育について、さまざまな視点から解説していきます。

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中学校で行われている英語教育の今

現状では、学習指導要領の改訂に伴い、一部の小中学校で内容の先行・移行措置が実施され始めています。

中学校における英語教育の現状と今後の方向性(平成26年 文部科学省)によると、以下のような結果でした。

教員の英語使用 ※発話の半分以上が英語

  • 1年 44.5%
  • 2年 42.9%
  • 3年 41.2%

教師の英語の使用率が50%以下であることから、授業では日本語による指示や解説が多く、生徒が英語に触れる機会が少ないことがわかります。

また、以下のデータからも、生徒が英語を使う活動(言語活動)が授業であまり取り組まれていないことが見えてきます。

生徒の英語による言語活動 ※授業の半分以上

  • 1年 52.5%
  • 2年 47.0%
  • 3年 43.1%

つまり、英語の授業でありながら生徒が英語を使う機会が少ないのです。

上記のような現状を打破すべく、各都道府県や指定都市の教育委員会90%以上が複数日に研修をするようになり、少しずつ授業の内容が変化してきました。

また、2013~2017年度の教育目標を示す第2期教育振興基本計画では、中学校卒業時に英検3級以上の技能を身につけた生徒の割合を、50%にすることを目標としています。

2017年度以降にその割合が40%を達成したことから、少しずつ英語教育が変わり始めていることがわかります。

関連:日本の英語教育の8つの問題点!海外事例・改善案も丁寧に解説

日本の英語教育の問題点とは?

日本の英語教育には、下記3つの課題があります。

  • 「読む」「聞く」に偏った指導
  • 教員の技能の低さ
  • 外国語指導助手(ALT)の活用率の低さ

以下では、各問題点について詳しくお話しします。

 

「読む」「聞く」に偏った指導

英語の授業では、高校・大学入試で長文読解や会話の聞き取りなどが出題されるため、「読むこと」や「聞くこと」を重視していました。

この事態を改善すべく、「読む・聞く・話す・書く」という4技能を総合的に教育するように軌道修正されました。

 

教員の技能の低さ

教員が授業内で英語を発話する頻度は50%以下であり、授業内で積極的に英語を使用していない・言語活動を適切に授業に取り入れていないという現状があります。

また、英検準一級以上の技能を持つ教員は30%弱という数値の低さにも課題があります。

参照:平成30年度「英語教育実施状況調査」の結果について

 

外国語指導助手(ALT)の活用率の低さ

ネイティブスピーカーであるALTは異文化交流も含め、英語教育にとても効果的です。

しかし、ALTを活用した授業の割合は、直近5年間で21%前後と低い状態です。

今回の新学習指導要領の変更には、上記ような問題点が背景となっているのです。

参照:平成30年度「英語教育実施状況調査」の結果について

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海外の英語教育との違い

各国の英語教育と比較すると、担当教員の条件に大きな差はないものの、日本の英語教育の開始が遅れていることがわかります。

 

日本

  • 開始:小学校5年生(教科化)
  • 中学校の授業時数:週4コマ (年間140時間) ※1コマ50分
  • 担当教員:
    • 小学校は学級担任、中学校及び高等学校は専科の教員
    • 英語力の資格は規定無し
    • 一部の自治体では英語力に関する資格を採用の際に考慮

 

韓国

  • 開始:小学校3年生
  • 中学校の授業時数:
    • 1~2年次は週3コマ
    • 3年次は週4コマ ※1コマ45分
  • 担当教員:
    • 小学校は学級担任が多く、中学校や高等学校は専科教員(小学校では専門教員の配置が徐々に進行)
    • 英語力の資格は規定無し

 

中国

  • 開始:小学校3年生
  • 中学校の授業時数:週4回以上
  • 担当教員:
    • 小学校も含め専科教員
    • 英語力の資格は規定無し

 

フランス

  • 開始:小学校1年生
  • 中学校の授業時数:
    • 1年次は週4コマ
    • 2年次は週3コマ
    • 3~4年次は週6コマ(うち3コマは第二外国語) ※1コマ55分
  • 担当教員:
    • 小学校は学級担任等、中学校や高等学校は基本的に専科教員または英語アシスタント
    • 英語力の資格は規定無し

 

ドイツ (ニューザクセン州)

  • 開始:小学校3年生
  • 中学校の授業時数:週4コマ ※第5学年~第10学年
  • 担当教員:
    • 全ての学校で全教員が2教科以上を担当(専科・学級担任という概念は無し)
    • 英語力の資格は規定無し

参照:諸外国における外国語教育実施状況調査結果

英語教育改革について

中学校の英語教育改訂のポイントは以下のとおりです。

  • 「読む・書く・聞く・話す」の4技能をバランスよく習得
  • 習得語彙数が1200語から1600~1800語に増加
  • 仮定法や原形不定詞といった文法事項を学習内容に追加
  • 授業のAll English化

今までは「読む、書く」の比重が大きかった英語教育。

しかし、昨今のグローバル化の影響で2016年度に中学校の教科書の内容が改訂され、「読む・書く・聞く・話す」の4技能のすべてを重視するようになりました。

特に、「聞く・話す」については、

  • 自然な口調での英語会話を聞き、話者の意図を正確に掴むこと
  • 商業施設や交通機関などのアナウンスから必要な情報を正しく聞き取ること

というように、日常生活に必要な技能の習得を目指しています。

また、文部科学省がグローバル化に対応した英語教育改革実施計画で「授業を英語で行うことを基本とする」と提示していることから、授業の指示を中心に英語を聞き取る機会が増えていくと予想されます。

さらに、高校との接続を踏まえ、英文を速読する・英語での会話を聞くなどして概要や要点を理解する能力の育成も進められるでしょう。

関連:小中学校からの英語教育のメリット・デメリット!教育改革とは?

まとめ

日本の英語教育が変わり始めたことで、「話す」「書く」といった技能や英語で物事を考える力が、さらに必要になってきます。

しかし、これらの技能は、今までのような学習方法では簡単には身につきません。

英語は座学ではなく実技科目です。

英語に触れたり使ったりした分だけ、英語力は伸びていくのです。

そういった観点からすると、やはり英語を使う環境を整えることは不可欠です。

ぜひ留学をしたり、オンライン英会話を使ったりして、英語漬けの日々を一度送ってみましょう。

今後ますます必要になる英語力、ぜひ今のうちから身につけておきたいところです。

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