20歳の環境活動家として注目を集めている露木しいなさんをご存知でしょうか?
彼女は今、慶應義塾大学に籍を置きながらも、休学というスタイルをとり、自ら日本中の子ども達に気候変動についての講演を行なっています。
彼女の目標は「世界から環境活動家をなくすこと」。
とても深い「彼女なりの視点」を紐解きながら、世界中の課題を解決する若い世代のパワーも紹介していきたいと思います。
露木しいなさんの経歴
環境活動家の露木しいなさんは、2001年に4人きょうだいの第二子として横浜に生まれました。
都会生まれ、都会育ちでありながらも、幼少期から積極的に自然と触れ合う機会を多く持ち、小学4年生から5年生の1年間は長野県で農村留学を経験しています。
中学生になってからは、サマーキャンプにも参加し、日本・中国・韓国・ロシア・モンゴル・北朝鮮(在日)の子どもたちとの交流を通じて、英語やグローバルな視点が開花。
高校からバリ島にある世界一エコな学校と呼ばれる「グリーンスクール・バリ」に留学することを決意します。幼少期から積極的に「家」、「学校」以外に「自分の居場所」を見つける姿がとても印象的ですね。
露木さんは、グリーンスクール・バリを卒業後に帰国し慶應義塾大学環境情報学部に入学しますが、その後もグリーンスクール・バリで学んだ環境についての問題を解決するために、あえて休学という選択をします。
そして今、日本の小学生~高校生、約600万人の3.5%にあたる21万人に、現在進行形で「気候変動について」の講演を行なっています。
なぜ環境問題に注目したのか?
露木しいなさんが環境問題に注目した大きなきっかけは、グリーンスクール・バリ在学中に遡ります。
もちろん学校自体は、世界一エコな学校でもありますが、直接的なきっかけは、学校の授業でバリ島にあるゴミ山を見学したことだそうです。
バリ島には、世界中からゴミが集められ、プラスチックゴミ、ペットボトルなどの問題が深刻化していました。彼女はそこに目を向けました。
この問題を調べていくうちに、グリーンスクール・バリの同級生が「バイバイ・プラスチック・バック」というプロジェクトを立ち上げ、インドネシアの法改正に繋げたという話を知り「自分にも何かできる!」という熱い思いが湧き上がったそうです。
そこから、彼女も環境問題に積極的に取り組んでいくことになります。
「できることがある」とわかったその瞬間から、自らの手で未来を切り開いていくその姿は、たいへん頼もしいものがありますよね。
一般的には、ついつい状況やタイミングなどを見て、忖度してしまいがちですが、「大人にならなくても活躍できる」という視点を持ち、実際に行動に移していく姿は、親世代の我々も見習いたい姿勢だと思います。
グリーンスクールについて
そんな彼女の価値観に絶大な影響を与えたバリ島のグリーンスクール・バリは、世界最先端のエコ・スクールとして注目を集めています。
バリ島のジャングルの中にある校舎は、成長が早く使い勝手が良いとされている竹で作られていて、メイン校舎、体育館、カフェテリアなど、どの建物も感動的な芸術作品のように美しく、世界中から見学者が数多く訪れるほど独特のフォームをしています。
もちろん、机や椅子なども全て竹で作られています。
学校では、全ての資源を自給自足で生み出しています。
例えば、カフェで提供される食事や、食事を載せる食器なども全て自給自足。また、トイレは水洗トイレではなく、オガクズを使ったコンポストタイプのトイレを採用。
排泄物はオガクズと共に分解され、自家農園の肥料となります。電気ももちろん太陽光エネルギーを採用しています。
授業内容も小学生から高校生までが、窓のない風通しの良い教室でプロジェクトを進めていきます。
日本の学校のように、規則正しく整列された教室で授業を受けるという雰囲気はなく、自由な配列で置かれた学習用デスクで、興味のあるプロジェクトに参加するというスタイルをとっています。
露木さんは特に、自分でプロジェクト内容を決めて自ら授業を作る「インディペンデント スタディ」という授業に興味を持ったそうです。
授業の全てを自分で考える、グリーンスクールの名物授業です。生徒は世界中から集まっていて、エコロジーの最先端とインターナショナルスクールのグローバルな視点が掛け合わさった貴重な環境で学ぶことができます。
英語の成績が1の状態からインドネシアのグリーンスクール・バリへ
そんな貴重な環境を求めてグリーンスクールへ留学した露木さんは、なんと留学当初の語学力は「英語の成績1」程度だったそう。
グリーンスクールでの共通言語は、英語ですから、英語ができなければ授業に参加できないどころか、友達とのコミュニケーションにも苦労します。
彼女は、留学当初の3ヶ月間は必死で語学習得に時間を割きました。
その後、彼女は積極的に活躍する同級生の姿に感化され、「積極性」を発揮。自らもプロジェクトを立ち上げます。
グリーンスクールの授業から生まれた化粧品
そのプロジェクトが化粧品開発です。グリーンスクール在学中の休暇中、日本に一時帰国していた際に、露木さんは自身の妹と一緒に「ナチュラル化粧品」を購入しました。
しかし、そのナチュラル化粧品を使用したところ、もともと敏感肌であった妹の肌が荒れてしまったのです。
「ナチュラル」とうたっているはずの化粧品で、肌荒れを起こした事に疑問を感じた彼女は、この出来事をきっかけに、ナチュラル化粧品の定義に興味関心を持ち、高校2年生の時に、理系の授業の一環としてココナッツオイルや自然由来の着色料を使用した「正真正銘のナチュラル化粧品」の開発に乗り出します。
これが、彼女が立ち上げたナチュラル化粧品のオリジナルブランド「Dari Bali」立ち上げのきっかけとなりました。
世界の課題と向き合う学生(SDGsの活動を通じて向き合っていること)
露木さんは、グリーンスクール在学中に立ち上げたオリジナル・ナチュラル化粧品ブランドを通じて、世界の環境問題やそれらに紐付く多くの問題にも目を向けていきます。
例えば、口紅やアイシャドウなどの色付け用に使う素材であるマイカパウダーは、その背景に深刻な児童労働問題がありました。
知らず知らずのうちに、私たち消費者がこれらの問題に拍車をかけてしまっているのではないか?という思いが強まった彼女は、多くの人(消費者)にこの事実を知ってもらうために、講演活動をスタートさせます。
そこには、気候変動の問題をきっかけとして、それに紐付く多くの環境問題にも着目した彼女らしい着眼点を垣間見ることができます。
日本でも、2015年5月から2年間にわたり人や社会・環境に配慮した消費行動「倫理的消費(エシカル消費)」の普及に向けて幅広い活動を行っています。
「消費者も社会的課題の解決を考慮したり、そうした課題に取り組む事業者を応援しながら、消費活動を行うことで、解決できる課題がある」という彼女の考えは、2015年9月に国連で採択された「持続可能な開発目標(SDGs)の17のゴール」を広めるための良いきっかけとなるでしょう。
消費者の立場から環境問題を考えると見えてくるもの 「私たちの選択が世界を変える」
露木しいなさんの考えの中には、常に「どうなるか」ではなく「どうしたいか」があると言います。
自分たちの未来がどうなるかは分からないけれど、常に目標を持って、その目標に向かって「どうしていけば良いか?」を考えて、今から行動を起こす。
それこそが、「私たちの選択が世界を変える」きっかけとなるのだと彼女は話しています。
我々消費者の選択によって、商品が作られていくのならば、その過程を逆算し、まず我々消費者が社会的課題の解決を考慮してから商品を購入する。そうすることで解決できる課題はたくさんあるのです。
購買活動だけでなく、選挙活動も同じで「変わるのを待つのではなく、誰に投票することで世界を変えられるかを考えて投票する」。それが世界を変えるきっかけとなるのです。
「日々の選択が世の中を作る」「何ができるか?」を常に考える20歳の環境活動家
露木しいなさんは海外から日本を見たことで、今の大人達が陥りがちな視野の狭い日本とは真逆の発想で日本の未来を捉えています。
デジタルツールやSNSなどを通じて、気軽に世界中の仲間とつながりを持ち、「世界では当たり前の感覚や文化」を積極的に日本に取り入れています。
例えば「ヴィーガンのカフェの紹介」もそのうちのひとつ。
海外では当たり前の選択肢のひとつとしてヴィーガン料理がありますが、日本ではまだまだ一般的ではありません。
このような新しい食文化も、積極的に日本に紹介することで、その需要を見つけ出し、企業に参入してもらうことで、大豆ミートなどのヴィーガン食材の物流を生み出してしまうのです。
まさに、消費者個人の力が企業を動かし、経済の流れを変えることができたのです。
まとめ
幼少期からの経験や、学生時代に身を置いていた環境が若いひとりの環境活動家を生み出しました。
今の日本の既存教育からではなかなか生まれないであろう彼女の価値観は、とても貴重なものであり、日本の新しい世代のリーダーとして今後もグローバルに活躍してくれることでしょう。
子どもの教育には環境が大きな影響を与えると言っても過言ではありません。子どもの感性を伸ばしていくためには、早い段階から、家庭・学校以外の居場所を提供することが大切なのかも知れません。
弊社Awesome Ars Academia(オウサムアルスアカデミア)では、子どもたちの感性を伸ばすためのスキルアップチャンスの一環として、世界中の人と繋がれるオンラインスクールを提供しています。
子どもの頃から学校や地域に縛られた世界以外に自然と仲間を増やし、世界市民として世界の課題と向き合い、技術を使って自ら課題解決ができるような人材の育成を目指しています。
お子さまの視野を広げ、自ら「どうしたいか」を考えて行動する力を身につける場の一つとして、ぜひ私たちのスクールの受講も検討頂けますと幸いです。
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