スーパーサイエンスハイスクール(SSH)をご存じでしょうか?
おそらく、理数系教育に関心のある保護者や学生の方の中には、ご存じの方もいることでしょう。
しかし、スーパーサイエンスハイスクール(SSH)とはいったいどんな高校が指定されているのか、どんな取り組みをしているのか、詳しく知っている方はあまり多くないかと推察します。
今回は、スーパーサイエンスハイスクール(SSH)の事業について、優秀な実績を残した指定校を10校ピックアップし、同校卒業後の進路まで解説していきます。
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スーパーサイエンスハイスクール(SSH)とは
スーパーサイエンスハイスクール(以下、SSH)とは、文部科学省が国際的に活躍する科学技術人材を育成するために優れた取り組みを行っている高校を指定し、支援している事業のことです。
主に理数系教育課程に関する研究開発を行う高校が応募し採択され、平成14年から令和元年度までで212校がSSHに指定されました。
では、どのようにしてSSHは指定されるのでしょうか。
SSHに指定されるためには、各高校が文部科学省に対し、各都道府県教育委員会などの設置機関経由で実施希望調書を提出します。
そして、企画評価会議協力者が審査を行い、その結果をもとに内定されるというような流れになっています。
SSH指定後は、科学技術振興機構(JST)が全国のSSHに対し支援を行っています。
具体的な内容として、JSTが支援していることは、
- 学校に代わり物品購入、研修・講師費用などの支払いを行う
- 生徒研究発表会の企画運営、情報提供などのサポート
があります。
また、それぞれのSSHを所管する管理機関は、地域の高校や教師に事例を普及・啓蒙したり、指定されたSSHの有効性を検証したりしています。
SSH基礎枠について
SSH基礎枠は、先進的な科学技術、理科、数学教育に関する研究開発を行います。
また、SSH基礎枠の指定期間は5年間となっています。
基礎枠とは、新規性のある取り組みに対する指定の「開発」と、過去に指定された高校のうち、さらに研究開発を進める「実践」の2種類があり、以下のように定義されています。
- 開発:基礎枠のうち、研究仮説を一から設定・検証し、新規性のある教育課程の研究開発を実施するもの
- 実践:基礎枠のうち、新規の研究仮説の設定を必要とせず、今までに開発してきた教育課程などの実践的な研究開発を実施するもの
以上からわかるように、新規で研究開発を行いたい学校と、研究をより実践的に開発していきたい学校が2種類に分かれるのです。
参考:スーパーサイエンスハイスクール(SSH)支援事業の今後の方向性等に関する有識者会議報告書
科学技術人材育成重点枠について
科学技術人材育成重点枠は、基礎枠で研究開発した取り組み以上に「科学技術人材育成」に関わる取り組みを行う場合の追加的な支援です。
基礎枠に加えて支援を受けることができます。
また、科学技術人材育成重点枠の指定期間は、最長3年間です。
高大接続(高校と大学との連携により理数系トップレベルの人材の育成)や海外連携(海外の理数系の先進的な学校・研究機関との連携と、海外において共同で研究を行える人材の育成)などを行います。
経過措置とは?
SSHの指定が終了したあと、指定校での理数系教育はどうなるのでしょうか?
もし、お子さんが指定校に入学したあと、途中で指定が終了したら、と不安に思っている方もいるのではないでしょうか。
そういった場合、例えば岐阜県立岐山高等学校のように「経過措置」というものがあり、高校側が申請すれば、1~2年認められることがあります。
つまり、入学して1年生の時に指定が終了して、経過措置が認められた場合は、2・3年生はSSHの取り組みが継続されますが、次の年以降に入学してきた生徒には対応がされない、ということになります。
スーパーサイエンスハイスクールの取り組み
では、SSHは実際にどんな取り組みをしているのでしょうか。
一言でまとめると、SSHの指定を受けた高校では、理数系教育に力を入れています。
理数系教育とは主に、数学と理科の知識や技能を総合的に活用して、生徒が自ら考え動く主体的な探究活動を行う教育です。
高校によって、理数系教育の計画やカリキュラム、教材が異なりますが、共通して言えることは、将来的に科学技術分野に秀でた人材を育成し輩出することを目標としている点です。
また、学校によっては、海外の理数系高校と連携して、英語で研究発表会を行い、海外の理数系大学や企業で講演を聞いて学ぶという積極的な活動もしています。
また、海外の大学以外にも地域の大学や複数の高校と連携して、理数系に突出した人材を育成するため「高大接続」という取り組みなども行っています。
では、これから各指定校の具体的な活動内容について、みていきましょう。
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スーパーサイエンスハイスクール指定校とその活動内容
SSHに指定されている高校は数多くありますが、ここでは、生徒による発表会での成績が優秀な指定校や「中間評価」が優秀だった指定校、高大接続や海外連携などの取り組みが活発な高校を中心に、その活動内容について紹介していきます。
国立や公立、私立によってどのような特徴や違いがあるかも確認していきましょう。
生徒研究発表会で文部科学大臣賞 東京都立小石川中等教育学校
東京都立小石川中等教育学校は、生徒会研究発表会で文部科学大臣賞を受賞した公立の中高一貫校です。
この学校は、SSH指定校に平成18年から3回指定を受けている学校で、6年間を通して文理を分けず、すべての教科を学ぶところが特徴的です。
第3期の研究開発課題としては、
- 6年間を貫く「高度な理数系カリキュラム」と「課題研究」の計画・実施・評価・改善
- 「小石川グローバルサイエンスシステム」を通した科学的人材の育成
を掲げています。
平成30年度SSH生徒研究発表会で審査委員長賞も受賞しています。
発表テーマは、「スライムを用いた偏光フィルムの作製」で、PVA(ポリビニルアルコール)から作るスライムを原料に、性能の良い偏光フィルムを作製したことで、全国208の代表研究のうち化学部門で最も優れた研究に選出されました。
また、平成31年度(令和元年)SSH生徒研究発表会では、最高となる文部科学大臣賞を受賞しています。
発表テーマは「変形菌イタモジホコリの変形体における自他認識行動」です。
変形菌イタモジホコリの変形体が分泌する年液鞘(しょう)という粘り気のある物質の役割について発表し、最高賞の文部科学大臣賞を受賞しました。
学校ホームページ:https://www.metro.ed.jp/koishikawa-s/
SSHとしての取り組み:http://www.koishikawachuto-e.metro.tokyo.jp/site/zen/entry_0000456.html
基礎枠 実践・海外研修 横浜市立横浜サイエンスフロンティア高校
横浜市立横浜サイエンスフロンティア高校は、平成21年に開校した「先端科学技術の知識を活用して、世界で幅広く活躍する人間」の育成を目標としている高校です。
平成26年から5年間、スーパーグローバルハイスクール(SGH)に指定されていた高校で、令和元年度も、「マレーシア熱帯林調査」や「ベトナム環境問題調査」などの活動を継続して取り組んでいます。
横浜サイエンスフロンティア高校は、平成22年から平成31年(令和元年)度の2期にSSH校として指定を受けています。
平成30年度には、SSH生徒研究発表会において、「地球影~誰彼刻を追ふ~」のテーマで審査委員長賞を受賞しました。
「高等学校を中心とした、小学校から大学まで一貫した知識・智恵連動の科学教育プログラムの開発と普及」をSSH研究開発議題とし、
- 科学の心を育成する教育環境の構築
- 知識・智恵連動の教育プログラムの開発
- 世界に通用するコミュニケーション力の育成
- グローバルサイエンスキャンパスとの連携による高大接続の研究
を柱にすえています。
学校ホームページ:https://www.edu.city.yokohama.lg.jp/school/hs/sfh/
SSHとしての取り組み:https://www.edu.city.yokohama.lg.jp/school/hs/sfh/index.cfm/32,html
お茶の水女子大学と高大接続 群馬県立前橋女子高等学校
お茶の水女子大学は、SSHに指定されている6校の女子高校と、高大接続事業に関する協定書を締結しました。
6校のうちの一つが群馬県立前橋女子高校であり、平成25年からSSHの指定を受け、現在第2期目となっています。
研究開発課題として「グローバル『サイエンス』リーダーとなり得る女性人材の育成」を目指しており、
- 科学的な見方・考え方を備えた人材
- 研究者としてのリテラシーを備えた人材
を育成することを目標としています。
事業を締結している6高校とも連携し、課題研究の研修会や発表会を行いました。
SSH活動の普及のため、群馬大学や県民生涯学習センターでワークショップなどの活動を行い、地域と連携しています。
お茶の水女子大学は、学部ごとに、提携している高校の生徒に対する大学の授業を開講し、入学した場合、大学での学部単位として認めるとしています。
学校ホームページ:http://www.nc.maejo-hs.gsn.ed.jp/
SSHとしての取り組み:http://www.nc.maejo-hs.gsn.ed.jp/?page_id=201
5期目 私立立命館高校
立命館高校は、平成27年度指定の中間評において、「優れた取り組み状況であり、研究開発のねらいの達成が見込まれ、更なる発展が期待される」と最高の評価を得ました。
令和2年度に「基礎枠先導的改革型」として指定されました。
「基礎枠先導的改革型」とは、過去に4回SSH校として指定されている必要があります。指定期間は、令和2年度から4年度までの3年間となっており、5期目以降の指定校には、今までよりさらに充実した取り組みが求められてきます。
今回、「基礎枠先導的改革型」のSSH校として指定された立命館高校は、海外連携や高大接続などさまざまな取り組みを行っています。
研究開発課題は、「科学教育のグローバルデザインと国際共同課題研究の全国普及を目指すシステムづくり」です。
サイエンスフェアを開催したり、海外科学研究ワークショップや海外共同研究プロジェクトに参加したりするなど、海外連携の活動を活発に行っています。
また、国内外の高校や大学、研究所などとサイエンスワークショップや発表会などを行ったり、アクティブラーニングを中心とした授業を全校的に行っています。
実績を積み上げる中で全校的に課題研究を行うようになり、生徒や教員の意識が向上したとしています。
学校ホームページ:http://www.ritsumei.ac.jp/fkc/
SSHとしての取り組み:http://www.ritsumei.ac.jp/fkc/education/ssh/index.html/
SSH連絡会 滋賀県立膳所高等学校
滋賀県立膳所高等学校は、滋賀県大津市に所在する高校で、平成18年から3期指定を受けています。
膳所高校は、北陸・関西圏のSSH指定校と連携して、「探求型学力 高大接続研究会」を開催しているSSH連絡会に参加しています。
さらに、重点枠の指定を受けており、地域の中核拠点校としてグループによる探求活動をすることや、京都大学、滋賀医科大学との連携事業で行われている「高大連携にかかわる協定書」を締結しています。
京都大学特別授業では、放課後に京都大学内に行き、90分の特別授業を受講しています。
滋賀医科大学との連携については、生徒の医学系への希望も多く、特別講座を滋賀医科大学で放課後に実施しています。
国際化事業においては、科学技術に関する問題を英語で議論し、発信する力をつけることを目的とし、英会話スクールの指導者を迎え学習が行われています。
学校ホームページ:http://www.zeze-h.shiga-ec.ed.jp/
SSHとしての取り組み:http://www.zeze-h.shiga-ec.ed.jp/?page_id=22345
SSH・SGH指定校 札幌日本大学高等学校
札幌日本大学高等学校は、私立の中高一貫校です。
平成24年からSSH基礎枠に指定されており、第2期の指定となりました。
加えて重点枠にも指定されています。
また平成27年から5年間、スーパーグローバルハイスクールに指定されていた高校でもあります。
SSHの研究開発課題には、
- 基礎枠事業:地球規模の課題を独自の連携によって開発に迫り、新たな価値を創造する人材の育成
- 重点枠事業:科学的好奇心を醸成し地域特有課題の発見・解決を導き、世界に貢献する科学者育成
を掲げています。
入学時に研究テーマを決めている生徒に対し、個別の研究テーマに取り組ませるなど、やる気を伸ばす工夫も行っています。
またプレゼンテーション能力やコミュニケーション能力が向上し、海外の学会発表に挑戦する生徒も増えてきているとともに、SSH選択生徒ではない生徒も海外研修への参加を希望するなど、全校生徒に刺激になっているようです。
学校ホームページ:http://www.sapporonichidai.ed.jp/high/index.html
SSHとしての取り組み:http://www.sapporonichidai.ed.jp/diarypro_ssh/diary.cgi
海外連携 京都府立嵯峨野高等学校
京都府立嵯峨野高校は、平成26年~30年スーパーグローバルハイスクールに指定されていた高校です。
SSHには、平成24年から指定されていて、平成29年からは重点枠に指定されています。
「科学を極める探求心と社会貢献の精神を持ち、国際舞台で創造的リーダーシップを発揮できる研究者」を育成することを目的としています。
「スーパーサイエンスラボ」といった課題探求や、「サイエンス英語」の授業などを行ってきました。
国際交流としては、シンガポールなど海外の高校と共同研究などを行っています。
また開発したカリキュラムや教材を、地域の高校生に普及できるように、協議していくとしています。
生徒による探究活動を京都大学に3年間継続調査してもらい、「批判的思考力」「探求型学習スキル」が向上しているという研究結果が出ているとのことです。
学校ホームページ:https://www.kyoto-be.ne.jp/sagano-hs/
SSHとしての取り組み:https://www.kyoto-be.ne.jp/sagano-hs/3-SSH/SSH-H29-33/31SSH-topics.html
H28年指定 中間評価優良 国立東京工業大付属科学技術高校
国立大学法人東京工業大学附属科学技術高等学校は、平成14年度から5回にわたって指定を受けている高校です。
また、平成27年度よりスーパーグローバルハイスクールに指定されていました。
平成28年度に指定されたSSH基礎枠(実践)の中間評価において、「優れた取り組み状況であり、研究開発のねらいの達成が見込まれ、さらなる発展が期待される」と評価されました。
「数理応用」などの副読本を作成し、幅広く利用できるようにホームページ上に載せていたり、教員が連携して指導できるような体制がつくられていたりした点が良い評価につながっています。
高大接続の観点としては、東京工業大学への推薦入学について、積極的な研究を進めていくよう指摘されています。
高大連携特別入試では10名程度の枠がありましたが、令和4年度で終了になります。
高校としては、進学後の追跡調査を進めていく考えですが、今後の高大接続について議論しているようなので、新たな推薦枠などが期待されるところです。
学校ホームページ:https://www.hst.titech.ac.jp/
SSHとしての取り組み:http://www.hst.titech.ac.jp/~ssh/
千葉県 高大接続枠 千葉県立船橋高等学校
千葉県立船橋高校は、SSHに平成21年度から基礎枠の指定を受け、第3期目となりました。
また、令和元年度からは重点枠の高大接続枠に指定されています。
千葉大学と地域の高校との連携の研究における幹事校になっています。
研究開発課題としては
- 基礎枠:自立した研究者への道を拓け~知識を総合的に活用し自立的に探究する力をすべての生徒に~
- 重点枠(SSHコンソーシアム千葉):グローバルなプロジェクトを牽引する次世代型科学技術系リーダーの創出
をテーマとしています。
基礎枠では、2年次に千葉大学で高校生理科研究発表会に参加したり、台湾研修で英語で発表を行ったりしています。
重点枠では、大学入学時から研究をはじめられるだけの力を備えるために、各コンソーシアムの参加校にて「徹底探究基礎講座」を行うなどしています。
学校ホームページ:https://cms1.chiba-c.ed.jp/funako/
SSHとしての取り組み:https://www.chiba-c.ed.jp/funako/fttp_kousin/ssh/index.html
中間評価優良・研究発表会 文部科学大臣賞 熊本県立宇土高等学校
熊本県立宇土高等学校は、公立の中高一貫校で平成25年から指定されています。
新しい指導要領や入試に対応したカリキュラムを実施しており、研究課題は「科学を主導する人材育成のための教育課程及び指導方法の開発」となっています。
中高一貫校として、6年間を通して学ぶことを課題としています。
その中で、平成25年指定の中間評価において「優れた取り組み状況であり、研究開発のねらいの達成が見込まれ、更なる発展が期待される」と優良な評価を得ています。
また、平成27年度のSSH生徒研究発表会で、「”副実像”の出現位置の数式化」をテーマに文部科学大臣賞を受賞しています。
熊本大学での研究フェスに参加し発表したり、海外研修や国際学会へ参加をしたり活発な活動を行っています。
学校ホームページ:https://sh.higo.ed.jp/utosh/
SSHとしての取り組み:https://sh.higo.ed.jp/utosh/SSH/
スーパーサイエンスハイスクールの成果
SSHは、教育課程外の理数系先進人材育成の研究開発をしていますが、これまでの取り組みから、令和4年度からの新しい学習指導要領の教育課程において、「理数探究基礎」「理数探究」が設置されることになりました。
教育課程の改善が進んでいるので、事業の目的としての成果があがっています。
また、指定校の成果としては、事業による支援を得ながら、地域の大学の講義や研究室に参加したり、海外の連携校や研究機関などでディスカッションや発表を行ったりすることで、科学技術分野の能力に長けた人材を育成しています。
スーパーサイエンスハイスクールの今後
科学技術の発展によって、今後AIなどが浸透していくことで、ますます社会が変わっていくことが予想されています。
今後、仕事はロボットなどによって代行され、将来的に今はまだ存在していない仕事に就く人も増えるだろうと言われています。
そんな先の見えない社会を生きていく子供たちは、知識を得ることだけではなく、自ら課題を発見し、さまざまなアプローチから問題解決していく力が求められていくことでしょう。
SSHの事業は、新しい時代を切り拓いていく人材を育成するために、基礎枠・重点枠の見直しをますます増えていきます。
基礎枠としては、
- 学年を超えた連携や他校との連携、地域との連携
- 女子生徒への理数系教育の関心の引き上げ
- 地域社会の実際的な課題解決の実施
ことなどが期待されています。
重点枠としては、
- 高大接続枠
- 広域連携枠
- 海外連携枠
- 地球規模の社会共創枠
- その他
という分類に再構築され、研究開発が続けられていきます。
また、大学のAO入試や推薦入試の評価にも活用が見込まれています。
スーパーサイエンスハイスクールは大学進学・就職に有利!?
SSHのカリキュラムで学ぶ課題の発見、科学技術を探究していく姿勢やスキル、国際的に活躍できる素養などは、進路決定に大きな影響を与えていく可能性があります。
SSH指定校で学んだ生徒は、理数系4年制大学に進学する進学率が増えています。
高大接続においては、推薦入試を行う大学や入学後に単位を認める大学もあります。
また、お茶の水女子大学の「実験室入試」のように、これまでの課題研究の内容も評価されるという点では、入試で有利になるといえるでしょう。
就職において、指定校出身だから有利とも言い切れませんが、身についた創造的探求力や論理的表現力、プレゼンテーション能力が有利になることは事実でしょう。
スーパーグローバルハイスクール(SGH)とは
スーパーグローバルハイスクールは、平成26年度からはじまった、「将来、国際的に活躍できるグローバル・リーダーの育成」を目指した文部科学省による事業です。
SSHと同様に、文部科学省が指定しており、指定校は、グローバルリーダーの育成と高大接続に関する研究開発を行うことを目的としています。
筑波大学附属高等学校が幹事校となっており、教育委員会などの管理機関が各指定校の進捗の管理や支援を行っています。
指定期間は、原則として5年となっており、平成30年度予算は843百万円、令和元年度は424百万円となっています。
SSHの有識者会議において、SSHとスーパーグローバルハイスクールは、それぞれ異なる分野の人材育成であるので、重複しての指定については慎重に考えるべきとしています。
また、特にSSH重点枠の指定校については、いままでよりさらなるレベルアップが求められているため、学校側の負担が大きく、スーパーグローバルハイスクールとの同時の指定は避けるべきだとしています。
スーパーグローバルハイスクールは平成26年から平成28年にわたって事業を行っておりましたが、新たな指定は終了しています。
現在は、海外連携をさらに深化させた、ワールド・ワイド・ラーニングコンソーシアム(WWL)構築支援事業として、支援を行っています。
スーパーグローバルハイスクールについて詳しく知りたい方は、スーパーグローバルハイスクール指定校とその特色についてまとめた記事がありますので、ぜひこちらをご覧ください。
まとめ
SSHに指定される高校は、いずれも全国の難関校です。
先進的な理数系を中学や高校から受け、大学までつなげていく取り組みが多くみられます。
ただ講義を受け、知識を覚えて大学受験に備える従来の高校教育から大きく発展し、大学や研究機関、海外の教育機関と連携して、高校生がそれぞれみつけた課題を解決していく人材育成の事例が全国的に広がっています。
また、200校を超える指定校が積み重ねた研究開発から、新しい指導要領での「理数探究」などの教育課程が生まれました。
今後は、SSHの指定が終了した場合も教育委員会などの管理機関の指導の下、カリキュラムを継続させることが望ましい、とされていますが、予算の問題なども含め、高校と自治体との連携が必要となることが予想されます。
SSHは、スーパーグローバルハイスクールやワールド・ワイド・ラーニングコンソーシアムの事業とともに、これからも全国に普及していくことでしょう。
科学技術分野に興味があるのであれば、SSHを志望校に検討してみてはいかがでしょうか。
関連:国際バカロレア(IB)とは?認定校・課題・メリットまとめ
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