今回は、日本人初のミネルバ大学生として注目を集める片山晴菜さんの活躍にスポットを当ててご紹介していきたいと思います。
片山晴菜さんの経歴
北海道出身の彼女は、高校生の時に既存の学校教育や、道内からなかなか出ようとしない同級生やその保護者たちの価値観に疑問を感じ、当時在学していた高校を2年生の時に中退します。
そして経団連奨学生として、アメリカのUWC-USA(United World College-USA)に進学し、世界90カ国以上の地域から集まる仲間たちと共に、さまざまな経験を積み重ねて行きます。
その後、合格率1.2%の超難関校であるミネルバ大学に入学。独特のキャンパスライフを通じて、日本では経験できないグローバルな世界観や価値観を吸収し、成長を続けて行きます。
なぜミネルバ大学を選んだのか?
日本人初のミネルバ大学生として在学中の片山晴菜さんは、なぜ同大学を選んだのでしょうか?そこには、いかにも彼女らしい理由が存在していました。
彼女は、小学生のころに経験したガールスカウトでの学びをベースに、学校以外のコミュニティーの重要性をとても重要視していました。
そこで彼女は、キャンパスは持たないけれども、寮生活を通じて、世界50カ国以上の国・地域から集まる仲間たちと人間関係を育む同大学のスタイルに興味を持ちました。
また、当時彼女は、日本の学校のように、志望校を偏差値だけで決めてしまうやり方にも疑問を持ったと言います。
社会とのつながりよりも、数字(偏差値)だけで将来を決められてしまう感覚に違和感を覚え、アメリカへ留学することを決意したのです。
ミネルバ大学について
ミネルバ大学とは、あの有名なハーバード大学やスタンフォード大学よりも超難関で人気が高いと言われている新設間もない有名校です。
同校は、コロナ禍の影響で世界のコミュニケーションツールがオンラインに切り替わるよりもずっと前に、「少人数型教育のオンライン教育の徹底化」に挑戦したベン・ネルソンによって2014年に創設されました。
同校は、全寮制の4年制総合大学ですが、特定のキャンパスを持たず、学生たちは全員、オンラインで授業を受ける仕組みとなっています。
学生たちは4年間のキャンパスライフで世界7都市に移り住みながら、全寮制の仲間たちと共に学校生活を送るというとてもユニークなスタイルとなっています。
4年間で移り住む世界7都市
・1年目 – サンフランシスコ(米国)
・2年目 – ソウル(韓国)、ハイデラバード(インド)
・3年目 – ベルリン (ドイツ)、 ブエノスアイレス (アルゼンチン)
・4年目 – ロンドン(英国)、台北(台湾)
学生たちは、滞在する都市においてさまざまなその土地ならではの学び・活動をすることになっており、滞在中に現地の問題などの「異文化体験」をしながら、多種多様な価値観を身につけ、在学中のカリキュラムである「理解の幅と専門知識の深さ」のバランスをとりながら成長していきます。
合格率1.2%の超難関「ミネルバ大学」のキャンパスライフ
ミネルバ大学のキャンパスライフは、日本の多くの大学のように「入学してしまえばあとはラク」といった平坦な道のりではありません。
同校の授業自体は、午前中だけなのですが、その授業のための予備学習や事前読書にあてなければならない時間が5時間以上必要な場合が通常だそうです。
これは、反転授業と呼ばれる学習方法で、同校の授業では、この反転授業の特性がうまく発揮できるカリキュラム構造になっています。
他にも、大学1年次には学びの基礎となる「4つの技能」を1年かけて学びます。これらの「4つの技能」は、個人技能である「批判的思考」と「創造的思考」、対人技能である「プレゼンテーション能力」と「コミュニケーション能力」を養うことを目的としています。
そしてこの4つの技能は、さらに細かく分解され「HC (Habits of Mind and Foundational Concepts = 思考習慣と基礎概念) 」と呼ばれる、全部で約100項目のスキルに体系化されています。
このHCは、半年ごとに精査されており、今の時代に合っているか?という視点で改訂が繰り返されており、学生たちは授業中、HCスキルを意識しながら討論を行います。これら4つの技能を学ぶことで、将来どの分野でも幅広く応用できる基礎となる力を養います。
金曜日には授業が無い代わりに、街の研究機関や地方政府等と連携して実際に課題に取り組むことを目的とした「体験型学習」に充てられています。
これらの経験を通して、学生たちは「社会から求められる実用性」「柔軟性」「創造力」「多面的な思考」「 問題解決力」を鍛えることができます。これは、既存の日本の大学では得られない貴重な経験ができる環境と言えるでしょう。
彼女のこれから
現在大学4年生の彼女が、これからどんな仕事を見つけ、取り組んでいくのか。彼女の今後の活躍にも注目していきましょう。
公益財団法人 孫正義育英財団財団生として
片山さんは、1100人もの応募者の中から選ばれた数少ない孫正義育英財団の財団生の1人です。
“「高い志」と「異能」を持つ若者が才能を開花できる環境を提供し、未来を創る人材を支援する” という志のもと、設立された同財団では、単に子どもを特別支援するだけではなく、才能溢れる子どもたちの交流の場を提供しています。
実際に片山晴菜さんは、「異なる才能を持つもの同士が、互いに刺激し合うことで、切磋琢磨し、成長していける貴重な場である」と述べています。
学校や家庭以外の場所で、自分に合った居場所を見つけることが、こんなにも子どもの思考や行動力にプラスの刺激を与えるのだと思うと、環境やコミュニティーの影響の大きさを痛感します。
セクシャルウェルネス産業(性に関する心とカラダの健康)
大学4年生のときに、片山晴菜さんはとある企業にてインターン研修に参加していました。
彼女がインターン先に選んだ企業とは2019年にセクシャルウェルネス産業に参入したてのベンチャー企業でした。
「なぜセクシャルウェルネス産業だったのか?」
日本で学校教育を受けた片山晴菜さんは、「学校=テスト」「授業=先生が教える」といったような「正解」を押し付けられる学校教育によって「自分らしさ」を表現しづらくなっていることに気がついたと言います。
その後、ミネルバ大学の学生として、世界中を転々とする生活を通して、自分を表現することや、自分の気持ちに正直でいる、ハッキリ意思表示をする、といった「自分の価値観」を大切にすることの重要性も学びました。
逆に、うやむやな反応を取ったり、相手の気持ちを優先するのが一番楽だったという現実も受け入れ、これまでいかに自分の人生を自ら放棄していたかを痛感し、今までの価値観を見直すことで、自分に合わないものに別れを告げる決意をしたとのこと。
自分に適したものを取り入れ、自分なりの新たな価値観を創りあげていくことへの気づきを、より多くの人に共有したい。そして、これまで社会的にタブー視されがちだったセクシャルウェルネス産業だからこそ、これまで社会規範として押し付けられてきた価値観ではなく「自分の価値観」へ多くの人が気づく手助けや、そんな価値観が変わる現場に立ち会えるのではないか、と、情熱を傾けるようになったそうです。
参考:片山晴菜さんのブログ:「私が大学最後の夏を、セクシャルウェルネス市場に賭ける理由」
まとめ
これまで敬遠されてきた女性のセクシャルウェルネス産業に注目し、テクノロジーを武器にその悩みを解決している片山晴菜さん。
セクシャルウェルネスアイテムを含む Femtech事業は今後も市場拡大が見込まれている注目のマーケットです。
彼女の頭脳にはミネルバ大学で培われた4つの技能と、体験型学習を通して世界各国で学んだ問題解決能力が備わっていますから、それらをフルに発揮してタブー視されてきた開発途中のセクシャルウェルネスマーケットで、今後もさらに活躍していただきたいですね。
興味のある世界にどんどん飛び込んでいける強い探究心は、これからの世代を生きる子どもたちの必須のスキルとなるのではないでしょうか。
前段落で参照した片山さんのブログにもあるように、「私たちが生きるこの時代は、今までその真偽や是非が疑われることのなかった通説や文化を見直し、再定義する時」だと思います。
そして、「今までの通説や文化を見直し、価値観を変えるキッカケは、多様な価値観との(衝突を含めた)出会いがある」という片山さんの考えは、弊社の考え方と重なる部分があります。
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